こんにちは。
本記事ではブラウン運動で受験生が陥るよくある勘違いを徹底的に解決していきます!
しかし化学にでてくるどの名前にも「意味」があり、その背後には「物語」があるのです。
そこまでしっかり知ることができれば、言葉を覚える作業だって楽しくなってきますよ!
今回はコロイド粒子の「ブラウン運動」について、わかりやすく徹底解説していきます。
ブラウン運動以外のコロイド溶液の性質についても知りたい人は、こちらの記事も読んでみてください。
目次
ブラウン運動とはコロイド粒子の不規則運動
ブラウン運動とはどのような運動なのでしょう?
顕微鏡を用いてコロイド溶液を撮影した動画がYouTubeに公開されていましたので、見てみましょう!
小さな光る点がまるで生きているみたいにジグザグ運動をしていますよね?
この不規則な動きが、コロイド粒子の「ブラウン運動」です!
ブラウン運動と熱運動の違いとは
先ほどブラウン運動を解説しましたよね。では、なんでブラウン運動が起こるのでしょうか?
その答えは、目には見えないほど小さな水分子が衝突するから。
コロイド粒子は、激しく熱運動をしている水の分子に周囲を囲まれています。
分子が熱によって振動するように運動することを「熱運動」といいます。
この「熱運動」によって水分子がコロイド粒子に突撃して、コロイドが動いていることを「ブラウン運動」と言います。
この分子がコロイド粒子に不規則に衝突するため、コロイド粒子はあちこちに動かされるのです。
しかし水分子は顕微鏡を用いても小さすぎて見えません。
そのため、まるでコロイド粒子自体が動いているように見えるのです。
ブラウンとは植物学者の名前
「ブラウン運動」という名前はどこから来たのでしょう?
由来になったのは、19世紀に活躍したスコットランドの植物学者ロバート・ブラウン。
「化学者じゃなくて植物学者?」と思ったかもしれませんが、実はブラウン運動は彼が花粉を観察している時に発見したのです。
ある日、彼は花粉を真水につけてみました。
すると浸透圧によって花粉が破裂し、中から微粒子が出て来たのです。
この微粒子を顕微鏡で見てみると… ジグザグと活発に動いているではありませんか!
当初、彼はこの動きを植物の持つ生命力によるものだと考えました。
しかし、よくよく調べて見るとコロイドサイズの粒子であれば、生命由来ではなくてもこの不規則な動きをすることに気づいたのです。
この発見によりコロイド粒子の不規則運動は「ブラウン運動」と名付けられたのですが、なぜブラウン運動が起こるのかは謎のままでした。
この謎を解明したのは、20世紀を代表する偉大な科学者アルベルト・アインシュタイン。
「熱運動する溶媒分子によって引き起こされる」という彼の説は、当時まだはっきりしていなかった原子や分子の存在を裏付ける証拠になったのです。
ブラウン運動が、原子の存在証明にまでつながっていたとは!
さて、ここで一つの問題が浮上します。
ブラウン運動は人名が由来なので、意味に基づいて覚えることができないのです。
そこでここは「語呂」を使いましょう!
コロイド単元で混乱しやすいのは、どちらも人名の「チンダル現象」と「ブラウン運動」です。
光の道筋が見えるのが「チン」ダル現象で、ブラブラと不規則に運動するのが「ブラ」ウン運動です!
コロイド観察に必須な限外顕微鏡
コロイド粒子は真の溶液の溶質粒子よりはるかに大きいですが、普通の顕微鏡では見えないものも多いです。
そのようなコロイド粒子を見えるようにする秘密兵器が「限外(げんがい)顕微鏡」。
強い光をコロイド溶液に当てることで、コロイド粒子が散乱した光を「輝点」として見ることができます。
普通の光学顕微鏡の分解能は2.0×10-7mくらいなので、牛乳中の乳脂肪などの大きなコロイド粒子しか見ることができません。
しかし限外顕微鏡の分解能は4.0×10-9mにも達するので、金コロイドなどの小さなコロイド粒子も見ることができます。
まとめ
- ブラウン運動は、コロイド粒子がジグザグと不規則に動く運動です。
- 発見者のロバート・ブラウン氏にちなんで名付けられました。
- ブラウン運動を引き起こしているのは、熱運動する水分子。
- 限外顕微鏡を用いると、小さなコロイド粒子も観察することができます。
「コロイドの問題演習がしたい」という人はぜひ下のチェックシートをやってみて下さい!
どこがちゃんと分かっていないのか確認できると思います。