こんにちは。
今日は、溶解平衡、緩衝液、沈殿反応などにメチャクチャ絡んでくる『共通イオン効果』という現象についてお話しします。
『共通イオン効果』っていう現象を受験でどう使うかをお話しします!


というわけで、ひとまず概要をこの動画で見てください。
このように動画で一度頭に入れて、それを文字で見て行く事で、定着率がハンパ無くあがりますので、
目次
共通イオン効果とは?
まずざっくり具体例で紹介します!
まず上の図を見てください! この図では、塩化銀が溶解平衡状態になっています。
水溶液中のイオンが沈殿する反応と、沈殿が、溶液中に溶け出す反応が同時に起っている状態です。
ポイントは、
『反応が止まっているわけではなく、
両方起っていると言う事です。』
そして、共通イオン効果とは、『ルシャトリエの原理』をうまく使ったものです。平衡移動の問題が絶対に解けるようになる記事です。
そして今回の溶液中には、
AgCl⇄Ag++Cl–
の反応で表される平衡が起っています。
そして、ここで『ルシャトリエの原理』をうまくつかうのです! これにたとえば、塩酸を加えるとします。そうすると、溶液中はこうなります。

このようになっています。
Cl–が先ほどよりも明らかに多くなっていますね。そうすると、先ほどの平衡反応にも影響が出ます。AgCl(固)⇄Ag++Cl–これで、Cl–がやたら増えてくるわけです。
イメージはこんな感じ、
AgCl(固)⇄Ag++Cl–
右辺がやたらに増えたら、ルシャトリエの原理で平衡が移動しますよね。
それが起るからこの平衡は左に移動します。そうすると、AgCl(固)の沈殿が増えるのです!
このようにAgCl→Ag++Cl–の反応がCl-などのイオンを加える事で、AgClの電離が小さくなるこういう現象を共通イオン効果って言います!
こんなところにも起っている共通イオン効果!
実は共通イオン効果はこういう沈殿反応とかだけじゃなく、別のところでも使われているのです。それは、『電離平衡』のところでやりました、緩衝液で使われているのです。
緩衝液の公式を覚えていますか?
こういうのが一般的ですが、
これは希釈が絡むので、面倒、
モル濃度の体積は約分で消すことができますので、最終的な公式はこのモルで表されたものになります。
詳しくはこちらの記事をご覧下さい
『【朗報】緩衝液の入試問題の解法が簡単過ぎワロタw原理も解説!』
ですが、この公式に至る理由を
おぼえていますか、
本来酢酸の電離平衡は、
この表で表されるので、
平衡定数は下のようになります。


酢酸の電離は下のような反応式で
表されます。
CH3COOH⇄CH3COO–+H+
本来であれば、
CH3COOHは弱酸だから、
CH3COO–は
CH3COOHの1/100くらいしか
存在しません。(あんまり電離しないから)
でも、緩衝液はわけが違います。
緩衝液は、
CH3COOH:CH3COO–=1:1
くらいですよね。
ってことは、本来の電離平衡より、
遥かに、CH3COO–
が多いわけです。
てことは、
CH3COOH⇄CH3COO–+H+
というイメージです。
だから本来のCH3COOHの電離を
『妨げます』。
酢酸の電離する濃度をxと表すと、
[CH3COOH]=Ca-αCa=(1-α)Ca≒Ca
と近似できるのです。
(なぜなら、xの電離が共通イオン効果で小さくなっているから)
こういう風に緩衝液のところでも、
共通イオン効果が働いているんですね。
共通イオン効果で沈殿の量を変える方法
共通イオン効果を使えば、
沈殿の量を増やしたり
減らしたりすることができます。
とはいえ、魔法のように
超難しい事を言うわけじゃないです!
ルシャトリエの原理がわかっている人
的には、
『当たり前だろ!』
と言うレベルの話ですので!
ここでは、例として、
塩化銀を使います!
共通イオン効果を利用して溶解平衡状態から沈殿を増やす方法
共通イオン効果①AgClの溶解平衡にCl–を増加させる!
たとえば、NaClやHClを溶液に入れます。
そうするとどうなるでしょうか?
溶解平衡のうちCl–が増えます。
Ag++Cl–⇄AgCl(固)
だから、それを減らしたいから、
平衡が右に移動しますね!
つまり沈殿が増えるわけです!
Ag+を増やす方法
何となく気付いている人も
居ると思いますが、
「別にCl–を増やす必要はない」
のです。
AgClの溶解平衡にに、銀イオンを増やすために、AgNO3水溶液を加えるという作戦です。
AgNO3は溶液中で
Ag+とNO3–に電離しています。
すると、Ag+が溶液中に
ふえることになりますよね
Ag++Cl–⇄AgCl
と言う風にAg+を増やして行きます。
こうなったら、
平衡が右に移動するから、
AgClが増えます。
つまり沈殿を増やす事が出来ます。
共通イオン効果を利用して溶解平衡状態から沈殿を減らす方法
次は、共通イオン効果を利用してAgClを減らそうと言う事です。
もはや、予想がついていると思います。
Ag++Cl–⇄AgCl
の平衡で先ほど、
左辺を増やす事で、沈殿を増やしました。
ということは、
左辺を減らせば、沈殿も減るんじゃねえか?
と予想がつきますよね!
正解です笑
そしてこの減らし方は、
『無機化学の知識』が必要になります。
銀の沈殿は、
十分量のアンモニアに、
『錯イオン』を作って溶ける
と言うことは、必須知識となります。
となります。
この覚え方は参考書で知りました
覚え方、
大量のおしっこで(十分量のアンモニア水)あえいだ(亜鉛)あげく(Ag)どうせ(銅青(せいしょく))逃げて(Ni)死す(紫(”し”って読む)
で覚えてください!
これにより、
Ag++Cl–⇄AgCl(固)
となります。
(Ag+がめっちゃ小さなってる)
Ag+が小さくなって、
それを補うために、
平衡が左に移動します!
つまり、
沈殿が減少しているわけです。
まとめ
共通イオン効果についてわかりましたか?
水溶液中のイオンを加えることで、
起る平衡移動で、
溶質の溶解度や電離度を小さくする事です。
また、
この共通イオン効果は、
理論化学の計算である
溶解度積に大きく関係します。
この溶解度積を確実に
解ききるためには、
理論化学の根本部分が
絶対に必要になります。
共通イオン効果という言葉を聞くとなんかまた難しそうなで新しそうな感じがしますけど、結局はルシャトリエの原理を利用しているだけだったんですね。
そうなんですよね!
意外とさまざまな所で出て来てるので
気にしながら見てみてください!
ルシャトリエの原理に関するページはなくなってしまったのでしょうか?
共通イオン効果が起こるとphはどう変化しますか
それは時と場合によるとしか言いようがないですね。