銅が希硫酸には溶けないが熱濃硫酸には溶ける理由とは?

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こんにちは。

今日は、質問が多かった内容をお話ししていきます。

落ちこぼれ受験生のしょうご
どうして、銅は希硫酸では溶けないのに、熱濃硫酸だと溶けるですか?

この質問がよく来ていたので、今回これを解説していこうと思います。

文章を読むのが面倒な人は、コチラをご覧下さい1

目次

希硫酸と熱濃硫酸の酸化力

もしかしたら、意外な事実かもしれませんが、硫酸には酸化力はありません。

強酸性と強酸化力はどう違う?酸化力を持つ酸の原因究明!

こちらに書いていますが、硫酸自体には酸化力がないのです。でも、時々希硫酸や熱濃硫酸が酸化剤として書かれている事が在りますが、それはどういう事なんでしょうか?

希硫酸の酸化力

希硫酸と言うのは薄い硫酸のことです。つまり、硫酸の周りに水がいっぱいいるという状態です。

硫酸はH+を投げる力が強いので、酸性です。
H2SO4→2H++SO42-
このように水中で電離します。

このとき電離して出て来たH+が酸化剤として反応するのです。

よく、金属と酸を混ぜると、水素が発生すると言う反応を中学校のときに習ったと思います。

これは、
2H++2e→H2
という反応です。

この反応によって、水素が発生するわけです。なので希硫酸が酸化剤と言うよりもH+が酸化剤になっていて、これは別に硫酸である必要はありません。

そして、濃硫酸が酸化力を持たない理由もこれで説明がつきます。

濃硫酸は濃い硫酸ですので、周りにH+を投げる相手が居ません。だから、酸化剤であるH+が発生しません。

熱濃硫酸の酸化力

熱濃硫酸は酸化力を持ちます

強酸性と強酸化力はどう違う?酸化力を持つ酸の原因究明!

こちらでも説明していますが、熱濃硫酸と言うのは、濃硫酸が加熱される事で、硫酸が分解されて、SO3という酸化力を持った物質ができ、このSO3が酸化力を持っているため、強酸化剤として使われるのです。

鍵はイオン化傾向

それでは本題のなぜ、希硫酸には銅は溶けないが、熱濃硫酸には溶けるのか?という議題に入っていきます。

イオン化傾向で言うと、銅と水素を考えてみましょう。

H<Cuですよね!

てことは、CuよりもHの方がイオン化したいのです。

イオン化傾向というのは、『陽イオンのなりやすさ』ですので、
なので
2H++Cu→Cu2++H2
という反応がそもそも起きないのです。

なので、希硫酸では銅は溶けません。

しかし、熱濃硫酸の場合は、強酸化剤であるために、余裕で溶けます!

なので、熱濃硫酸では銅は溶けますが、希硫酸では溶けません。

まとめ

希硫酸と熱濃硫酸では酸化剤として働く物質がそもそも違う!

希硫酸はH+で熱濃硫酸はSO3である。

Cuよりイオン化傾向が大きいH2Cuを酸化する事は出来ない!

ということです。
復習は軽く動画を見ましょう!

それでは!



10 件のコメント

  • ようちゃん より:

    なかむらさん、初めまして。
    私は医学部志望で二浪しているのですが、全然成績を伸ばすことができず、センター試験で緊張していたのか、もうなんだか理由もわからないのですが、490/900しか取ることができず、医学部どころかどの国立大学も目指すこともできない状況になりました。
    私の家は母子家庭で、予備校に行くお金もなく、この2年宅浪してきました。もともと現役時代から頭は悪く、特に理数系が苦手でセンターでも6割しか取れておらず、担任の先生からは「お前は一生医学部には合格できない。医学部志望など口が裂けても言うな。お前の親は1人だし、裕福な家でもないし、予備校にも行けないならお前は一生大学に行けない。」と、本当はこれ以上のことも言われ、未だに思い出すだけで怖くてたまらなくなります。

    僕は確かに医学部志望とか、医者になりたいなんて言ってはいけないのだと思って、先週末のセンターを受けた後、自己採点をして、自殺しようと思いました。でも、母親にここまで育ててもらって、応援してもらって、いろいろ考えて、死ぬことができませんでした。
    親に負担をかけたくなくて、大学に行くのであれば国立大学に行きたいです。
    どんなことを言われても、やっぱり僕は医者になりたいです。だから、もう最後のチャンスだと思って、あと一年自宅浪人することに決めました。そこで、勉強法を見直すべく化学について調べていたら、なかむらさんのこのサイトにたどり着きました。とてもわかりやすく、ちょっとだけ化学が楽しくなりました。だから、必死に頑張ります。どれくらい成績を伸ばせるかわかりませんが、精一杯頑張ります。
    これからもこのサイトにお邪魔させていただきますので、どうかよろしくお願いいたします。

    • さとし より:

      私は1浪の時にセンターは7割5分で足きりされ、死にたくなりました。
      2浪の時にはバイトしながら自宅で1日8時間勉強して旧帝医学部に合格しました。同級生には現役から25浪までいましたよ。医師の道は回り道しても、その苦労がプラスに働きます。合格した年は、各教科の参考書と問題集は評判の良い厚めのもの1冊ずつだけにしぼって、ボロボロになるまでくりかえしました。要領の悪い人はあれこれ手を出してはダメです。

      • 受験化学コーチなかむら より:

        間違いないですね!

    • 受験化学コーチなかむら より:

      そうなんですね、とんでもない教師ですね。

      わかりました。来年からもどんどん活用していってくださいね!

      そして絶対に死のうとしないでくださいね!

  • nekiro より:

    濃硫酸は酸化剤なのはなぜですか
    濃硫酸は周りに水が少ないから電離しにくい
    ことはわかりましたが。
    それがわかれば銅と濃硫酸では銅が溶けることは
    説明がつくのですか?

    • 受験化学コーチなかむら より:

      濃硫酸は酸化力を持ちません。
      熱濃硫酸が酸化力を持ちます

  • 匿名 より:

    銅と熱濃硫酸の反応でH2ではなく水と二酸化硫黄が出てくるのもイオン化傾向でH2は出てこなくなっているからですか?

    • 受験化学コーチなかむら より:

      H2が反応で出てくるときは、H+が酸化剤として働いているときです。

  • 浪人生 より:

    わかりやすい!今まで丸暗記しかしてなくて「なんか熱濃硫酸ってめっちゃ強そうだし銅が溶けてもしかたないか」みたいなふわっとした認識でしたが、酸化力の由来の物質がそもそも違うんですね
    それ言ったら普通の濃硫酸は?っていうのも解消されたのでこの記事にたどり着いてよかったです

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    ABOUTこの記事をかいた人

    浪人の夏休みまで死ぬほど勉強したにも関わらず偏差値50を割ることも。そんな状態から効率よく化学を学び化学の偏差値を68まで爆発的に伸ばした。その経験を塾講師としてリアル塾で発揮するも、携われる生徒の数に限界を感じ化学受験テクニック塾を開講。 自己紹介の続きを読む。