こんにちは。


このような疑問にお答えしていきます。
本記事では水のイオン積とは何か? 公式がどのように導出されるか? の基本的な内容から上記の疑問点まで網羅的に解説していきます。
最後まで読むことで水のイオン積に関する疑問は全て取り除けますので、ぜひ最後まで読んでみてください!

目次
水のイオン積とは?
水溶液中の水素イオン濃度[H+]と水酸夏物イオン濃度[OH–]を掛けたものです。
公式以下のように表されます。
Kw=[H+][OH–]
また25℃の時はKw=1.0×10-14になります。
おそらくこの記事にたどり着いている人はここまでは知っているでしょう。

こんな疑問があると思いますので、続きで解説していきます。
水のイオン積の公式Kw=[H+][OH–]の導出方法!

水は水溶液中で以下のような平衡状態です。
H2O⇄H++OH–
水は化学平衡状態にあるので、平衡定数が成り立ちます。上記の平衡定数を書くと以下のようになります。

温度が一定の時に平衡定数は一定です。
平衡定数って名前がついてるくらいだ

さらに、水のモル濃度の[H2O]は定数とみなすことができます。
水のmol濃度は以下のように求めることができます。わかりやすく1Lの水を考えます。

例えば、1Lの水で中和反応が起こったとする。でも中和反応の変化量っていうのはせいぜいmmol単位のオーダーなわけ。
大体100分の1は無視できます。
大学受験の化学の計算で近似は以下の記事で解説しています。
[H2O]は定数とみなすことができます。
平衡定数Kも定数ですから先程の平衡定数の式で「定数」を左辺にまとめます。

両辺に水のモル濃度をかければ定数は左辺に集めることができます。

右辺を見ると[H+][OH–]ですよね。



水のイオン積とは、水の電離(H2O⇄H++OH–)の化学平衡の平衡定数の定数をまとめたものなんだ。
水のイオン積が25℃で1.0×10-14で一定である理由
ここまでの話を聞いた人なら、水のイオン積が定数である理由はわかりますよね?
水のイオン積が定数である理由はKw=K[H2O]で表すことができ、平衡定数は温度が一定の時に定数、水のmol濃度は定数だからです。
定数×定数は当然定数です。

水のイオン積が出題されている問題や、教科書を読んでみてください。
25℃の時にKw=1.0×10-14と書かれているはずです。平衡定数なので温度が一定の場合にのみ定数です。
25℃はテキトウな温度じゃないからね。25℃は「熱力学的標準状態」と言って、熱力学や熱化学系の勉強をするとよく出てくる温度です。
熱化学方程式やエネルギー図を学習したときもよく25℃という数字が出ていたと思います。
熱化学の分野もぜひ学んでみてください。
なぜ水のイオン積は1.0×10-14なのか?
理由は、25℃の時に実験をしたら水の電離の平衡定数と水のmol濃度を掛けたら1.0×10-14になっただけです。
つまり、実験で計測したらそうなったからです。
なぜ1.0×10-14かというと、25℃のときにちょうど1.0×10-14mol/Lになっただけです。
いい感じの結果になったのは、実験結果です。

水のイオン積は大学受験ではいつ使う?
水のイオン積をここまで学んできました。
でも、受験生にとって重要なのは、「で、結局どこで使うん?」ってことだけですよね?
今回は大学受験でKwを使うタイミングを2つご紹介いたします。

塩基性の溶液の[H+]
酸塩基では水素イオン濃度を求める問題が非常に多いです。
塩基性物質の場合は水素イオン濃度[H+]ではなく、水酸化物イオン濃度[OH-]の方が求めやすいです。
求めた[OH-]から水素イオン濃度を求めるときに、Kwを使います。
pHを求めたい場合は、水素イオン濃度[H+]
じゃあ塩基性の場合、酸性溶液の
水素イオン濃度の求め方とは
違う方法を使うの?
というと、実は違う。
それはこの水のイオン積があるおかげで、
塩基性も酸性と同じ手法で
求める事ができる。
なぜなら
『水のイオン積で[OH–]を[H+]に変換できる』
からなわけ。
水のイオン積の式は、
KW=[H+][OH–]
もし、塩基性で[OH–]をもとめたら、
あとはこの式で、
[H+]=の式にして
変換すればいい。
このようにして水のイオン積を介して
[OH–]を[H+]に
変換すればいい。
この水のイオン積があることで、
塩基の[H+]は次のような
ステップバイステップで求める。
ステップ1
まず[OH–]を求める。
ステップ2
強塩基なら強酸の求め方
弱塩基なら弱酸の求め方
で求めます。
ステップ3
次に水のイオン積を使って
[OH–]を[H+]に変換する。
この式を使う。
強酸、強塩基の厳密解でも水のイオン積KW
強酸強塩基の場合、
一番難しい論点は、
『水の電離を考慮する
厳密解なのか?近似解なのか?』
そしてときとして厳密解を
求めなければならない時がある。
今は強酸、強塩基のモル濃度が
1.0×10-6mol/Lより小さい場合は、
水の電離を考慮する。と
覚えておいてほしい。
強酸で例を出すと次のように
図を書く。
このような図を書く。
この図のポイントは強酸だから、
求めるのが[H+]
よって[H+]をxとおく。
そうすると、[OH–]が
(x-Ca)mol/Lとおける。
これを水のイオン積に代入する!
KW=x(x-Ca)
という方程式が出来るから、これをxで
解くと、
となり、
これが強酸の水の電離を考慮した
厳密解となる。
このようにして、
『強酸の厳密解』でも水の
イオン積を使うことを覚えておいてほしい。
塩の加水分解で水素イオン濃度を求めるとき
塩の加水分解で水素イオン濃度を求める時にも水のイオン積は登場します。
塩の加水分解は弱酸と強塩基の塩や強酸と弱塩基の塩が少し塩基性、酸性に偏る現象です。その中で以下のような公式を使います。
このタイミングで水のイオン積が登場します。
すみませんが、塩の加水分解を詳しく解説していると、それだけで5000文字くらい増えてしまいます。塩の加水分解について詳しくは、「塩の加水分解とは?計算問題の解き方を解説!」の記事で学んでみてください。
まとめ
- 水のイオン積は水の電離平衡の化学平衡定数から求められる
- 水のイオン積が定数である理由は、Kw=K[H2O]と定数の掛け算で表されるから。
- 水のイオン積は、「塩基の水素イオン濃度を求める時、「厳密解を求める時」「塩の加水分解の公式」で使う。
水のイオン積はよく使うし、公式くらいなら誰でも知っているでしょう。
なぜ定数なのか?なぜ1.0×10-14なのか?どういう時に定数なのか?まで詳しく理解している人は少ないです。
今日の記事を読んで、ぜひ友達にアウトプットしてみましょう!