こんにちは。
このような受験生も多いことでしょう。何を隠そう受験化学コーチなかむらもこのような水銀と圧力の関係がわからず、この手の問題が出た瞬間に苦手意識を覚えていました。
とかよく悩んでいたものです。本記事ではこのような状態方程式や圧力に関する問題をしっかり解決していきたいと思います。
結論を言うと力のつり合いさえ理解しておけば全てうまくいきます。
目次
水銀柱や水銀圧力計で760mmHgとなる原理〜力のつり合いで証明〜
一番最初に意味不明な760mmHgについて解説していきます。
760mmHgは「圧力」の単位です。「mmHg」と書いて「ミリメートル水銀」と読みます。
Paやatmなどと同じく圧力の単位なので760mmHgはPaと変換して計算を進める問題がよく出題されます。gをmolに変換してから計算するようなのと似ています。
1気圧が760mmHgだと判明するまでの流れ
水銀をガラス管内に埋め尽くします。
そして、このガラス管を立てます。
このように水銀柱を立てると空間ができてそれ以上水銀が上に上がらなくなります。このガラス管の高さが760mmなのです。
これが大気圧と760mm分の高さの水銀の重力がつり合うのです。
なぜ760mmHgなのかというと、大気圧が水銀を押し上げます。
これによって760mmがちょうど大気圧とつり合うのです。
この空間は真空になっています。先ほどから言うように水銀に対する重力がしっかり大気圧と釣り合います。
これを少し言い換えると、大気圧が持ち上げられる水銀柱の高さが760mmHgが限界だということです。
ってことは、ガラス管が760mm以上は持ち上げられなくなります。じゃあ謎の空間はというと真空になっています。あの場所には、何も気体が入り込むはずもありませんよね。
この空間のことをトリチェリーの真空と言います(トリチェリーは水銀柱に関して提唱した人です。)
風呂場でペットボトルで水でやってみてもなかなか真空はできません。なぜなら大気圧と釣り合う水が約10mも必要だからです。
液体の中でちょうど実験するのにいい感じだったのが水銀だっただけです。
「真空」と「トリチェリーの真空」に違いがあるのか気になりませんか?
実はトリチェリーの真空は本物の真空ではありません。水銀が蒸発して水銀の蒸気圧分の圧力が存在するからです。
とはいえ、大学受験レベルでは基本的に水銀の蒸気圧は無視しますので、受験生はあんま気にしなくて「真空」と捉えて大丈夫です。ただ、トリチェリーの真空という用語は覚えておいてください。
水銀柱の問題を解くときにガラス管の面積は関係ない
と思ったことはありませんか?
つまり、ガラス管の面積に関係あるのかないのか?
結論、大学受験の問題集でも書かれていますが、
って思う人もいると思います。問題集の解説をみてみたのですが、
このように書かれていて困っていたと思います。
このようなことがあるので、問題集の解答解説はなかなか使えないことが多いんですよ。
話を戻そう。このガラス管の断面積が関係ない理由を数式でみていこうと思います。
計算で考えていけばいいのですが、当然この記事の最初にいった通り「つり合い」さえわかれば十分なわけです。
実際に計算をしてみます。
水銀の密度をdとし、問題のガラス管の面積をSとします。
水銀の重力=大気圧がガラス管の面積Sを押す力
このようなつり合いの式ができます。重力はmgです。gは重力加速度なので良いとして、水銀の質量mは
d(密度)×760mm×S
です。てことは重力は
d×760mm×S×g
です。これと大気圧1013hPaがガラス管のSを押し込む力は
1013×S
です。これよりつり合いから等式を作ると、
d×760×S×g=1013×S
というようになります。これにより両辺でSはこの等式から消え去ってくれます。
このようにSが10,000,000m2だろうが、100mm2だろうが関係ありません。
水銀が十分あれば、水銀柱の太さにはよらず1気圧=760mmHgになります。
「ガラス管の断面積は関係ない!」なんて覚えなくてもこんなものは普通に面積をSと文字でおけるようになって欲しいところです。
数学でも物理でもよくあることなんですが、与えられてないけど自分が必要だな〜って思う物理量を適当に文字でおいてみることはお勧めします。
大抵後から消えてくれます。(物理の電磁誘導あたりでよく使うテクニックです。)
水銀柱と気体反応の問題の方針
基本的に水銀柱の問題は圧力を水銀柱で与えられます。例えば、
このように与えられます。これから加えられた水素と酸素の混合気体の圧力は60mmHgだとわかります。
ただし、ここから化学変化があるとします。例えば、水素と酸素が燃焼で水になったりします。そうなると
こういう時は、mmHgをhPaに変換していかなければならないのです。問題にもよりますが、大半の問題はmmHgをhPaに変換して計算し、最終的な答えは「mmHg」で導出する問題が多いです。
水銀柱を使うことで、圧力は全てミリメートル水銀で表されます。しかし、計算はhPaでするのです。そして、最終的にその求めたhPaをmmHgに戻す、または水銀の高さにしなければ求められない問題ばかりです。
方針としては、mmHgからmmHgを直接求められれば嬉しいけど、なんだかんだ求めるのは不可能なので、一度hPaを
水銀柱の簡単な問題ならいいのですが、水銀柱のトリチェリーの真空部分に気体を入れてみたり、その気体を燃焼させてみたりと、様々な工夫を凝らして
こういう問題の時に、水の蒸気圧がhPaやPaで表されて、水銀柱がmmHgのまんま表されることがあります。
このような計算で大事なのは、「迂回」です。
「mmHg」→「hPa」→「hPa」→「mmHg」のようにします。蒸気圧やらをmmHgに直してもいいのですが、計算がだるいことが多いですし、その前の問題で誘導でhPaやPaで表せられるようにされることがよくあります。
このように、水銀柱の問題を解説してきました。ですが、はっきり言って水銀柱というより気体の問題を理解していない人が多いです。
水銀柱の問題がわからない人はおそらく気体でつまづいている
水銀柱や水銀圧力計の問題でつまづいている人に聞きたいのですが、そもそも気体の扱いはバッチリですか?
水銀柱の問題ってPaがmmHgと混ざるだけの問題がほとんどで、特に新しく習う理論なんてほとんどありません。最初にいった通り「つり合い」だけわかっていたらOKです。
この記事の水銀柱を理解するというテーマ以上に本当に大事なことは、水銀柱以外の気体の扱い方や混合気体の扱い方は本当に完璧でしょうか?
これ以外にもヘンリーの法則、蒸気圧、化学平衡などそもそも根本的に気体の反応に関する問題を解けない人が多いです。
混合気体を「図」を書くことで解く方法を無料教材で解説しています。ぜひダウンロードしてみてください。
最後に:だいたいボトルネックは1箇所
- 水銀柱は「つり合い」がわかれば全てわかる
- 圧力の単位にすぎない
- 水銀柱が苦手な人はそれ以前に気体の問題が解けない
結局のところ水銀柱って別に特別珍しいものではなくて、つり合いがわかれば簡単なんですよ。
大事なのは気体の計算が確実にできることです。それ以外は単位をしっかり考えることです。
おかげで水銀の問題が詰まることなく解けるようになりました。ありがとうございます。水銀じゃない物質にしたらとかヘンな問題もあったのですがここに書いてあることが全てですね
水銀は一例にすぎず水バージョンもありますね!
応用できるか、より抽象的なことが理解できているかにかかってますね!