無極性分子が無極性溶媒に溶ける理由とは?

無極性分子が無極性溶媒に溶ける理由
しょうご

なぜ無極性分子は無極性溶媒に溶けるの?

極性分子が極性溶媒に溶けるのはすごくわかる。それは、極性溶媒のδ+、δーが極性分子のδー、δ+と静電気的な引力で引き合うから。

でも、無極性分子が無極性溶媒に溶ける理由はわからない。引力もないのに。。

 

今日はこのようが疑問にお答えします。

本記事の内容
  • 無極性分子が無極性溶媒に溶けるのはごく自然のことです
  • 実は例外は極性分子が無極性溶媒に溶けないことです。
  • 結果的に似た者同士はよく溶ける

僕も昔は、疑問に思っていました。

受験化学コーチなかむら
無極性分子と無極性溶媒って結局弱い分子間力しか働かないんだから、溶けないのでは? なんなら極性分子は無極性溶媒に溶けてもいいじゃん!

この記事にたどり着いた人は、結論が極性分子は極性溶媒、無極性分子は無極性溶媒に溶けることを知っているはずです。なぜ無極性溶媒に極性分子が溶けないのか? ってところまで解説します。

※この記事は3分ほどで読み終わることができます。

目次

無極性分子が無極性溶媒に溶けるのはごく自然のことです

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結論から言うと、無極性分子が無極性溶媒に溶けるのは自然の摂理なのです。まず、そもそも「溶ける」という現象をおさらいしておきます。

これがわかっていないとこの記事の内容が絶対理解できないので一瞬お付き合いください。

溶解するとは?
  1. 周りを取り囲む
  2. 分断する
  3. 引き離す
この3段階です。

極性分子が極性溶媒に溶ける現象はわかりやすいです。

水分子が引力で

この画像のように、極性分子やイオンと極性溶媒は極性によって引力が働きます。すると、

水に溶ける様子
このように熱運動で引き離していきます。これが溶けるという現象でして、溶液中に溶質がバラバラに拡散している状態を言います。

極めて、理解しやすいです。

ですが無極性分子と無極性溶媒の場合は、無極性溶媒が無極性分子を引き付ける引力はありません。極性がないので、引力も発生しません。

無極性溶質と無極性溶媒のやつ

この図でAが溶質、 Bが溶媒ですが、A-Aの結合とA-Bの結合にほとんど差はありません。

極性分子と極性溶媒ならばA-A<<A-BだったのでAの周りにBが接近しました。

ですが、A-BとA-Aは両方とも弱い分子間力で差がないのです。

しょうご
これなら混ざり合うことはなくて、溶けないんじゃないか?

そう思いますよね。

 

しかし、無極性分子が無極性溶媒に溶けるのは、自然界でごくごく普通のことなのです

重要ポイント

自然界は乱雑な状態になっていく(エントロピー増大の法則)

エントロピーという難しい言葉を使いましたが、「バラバラ具合」と言い換えても大丈夫です。

よく教科書では「乱雑さ」と言う言葉を使われます。自然界はエントロピーが増大するように移動するのです。

なので、無極性分子は無極性溶媒の中でバラバラになるようにできているのです。

無極性溶質と無極性溶媒のやつ

この図で言うとAとAの分子間力とAとBの分子間力がほとんど同じならば、バラバラになる方向へ移動するのです。

溶解する不安定

例えるなら、部屋がぐちゃぐちゃになるのと似ています。

あなたの家の部屋はどうですか? 普通に整理整頓された状態と、ぐちゃぐちゃになった状態どちらが多いですか?

多くの人は、部屋がぐちゃぐちゃな場合の方が多いのではないでしょうか?

 

これ、自然界でも同じで整理整頓された状態よりも「乱雑」な状態に自然となっていくのです。

自然界は基本的にバラバラになって行く。

なので無極性分しは固まるよりも、無極性溶媒の中をバラバラになるのが自然なのです

 

補足

エントロピー増大則は大学で数式にして学びます。

エントロピー増大則

S:エントロピー、δ:微笑変化

ですが、多分これを本当の意味で「乱雑さ」と絡めて理解した上で卒業する大学生は1割もいないでしょうね、、、

では、ここまでで極性分子と極性溶媒でなくても、無極性分子と無極性溶媒のペアでも、自然界は乱雑な方向に移動するので、無極性分子は溶液の中で拡散され溶解します。

 

すると、疑問点が別のところへ移りますよね。

しょうご
なんで極性分子は無極性溶媒に溶けないのだろうか?

無極性分子同士の分子間力と極性分子と無極性分子の分子間力は大きさはそれほど変わりません。

「極性分子ー無極性分子」の分子間力と「無極性分子ー無極性分子」の分子間力は分子量が変わらなければ、ほとんど変わりません。

 

それなのに、なんで極性分子は無極性溶媒に溶けないのか? その理由を次に解説します。

「極性分子が無極性溶媒に溶けないこと」こちらが例外です。

 

結論から言うと、極性分子同士が水素結合など極性による静電気的な引力が溶媒の分子間力より強いからです。

自然界はバラバラになるのが自然です。だけども、先ほど確認した「溶解」とは何かを思い出してください。

溶解するとは?
  1. 周りを取り囲む
  2. 分断する
  3. 引き離す

これでしたね。溶解すると言うことは、周りを取り囲んで分断して引き離す必要があるのですが、溶質の極性分子同士が水素結合をしたら周りを取り囲んで引き離すことができないのです

極性溶質と無極性溶媒が溶ける

溶質が極性分子の場合、極性分子同士が水素結合をします。一方、極性分子と溶媒の無極性分子との間の結合はファンデルワールス力です。

A-A結合>A-B結合ですよね。つまり、BがAの間に入ったり、Aを取り囲んで引き離すと言うことができないのです

 

極性分子だけでなくイオン結晶も無極性溶媒には溶けません。

例えば、NaClはイオン結合です。イオン結合>>ファンデルワールス力なので、有機溶媒がNaClを引き剥がすことはできないのです。

 

これ、逆も全く同じです。

無極性分子が極性溶媒(水を例にあげます)に溶けないのも、水が水素結合でつながっているところを割り込んで無極性分しが入り込むことはできません。

なので、分離してしまうのです。

これが「水と油」状態です。

水と油

「水と油」は混ざり合わない、分かり合えないもののたとえでよく使われますが、まさに水の水素結合のせいで水と油は混ざり合うことはありません。

てな訳で、ここまでの内容を全てまとめると、次のように覚えておいてください。

結果的に似た者同士はよく溶ける

極性あり(溶質) 無極性(溶質)
極性溶媒 溶ける 溶けない
無極性溶媒 溶けない 溶ける

結局このように「極性同士は溶ける」し、「無極性同士は溶ける」のです。これらをまとめて溶解分野はこのような格言が言われています。

似た者同士よく溶ける

と覚えておいてください。

この記事の総まとめ

重要ポイント
  • 無極性分子同士はエントロピー増大則に伴い溶ける
  • 例外的に極性分子と無極性分しの組み合わせは溶けない。
  • 極性分子はファンデルワールス力よりも強い結合で固まって分離できないため溶けない
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浪人の夏休みまで死ぬほど勉強したにも関わらず偏差値50を割ることも。そんな状態から効率よく化学を学び化学の偏差値を68まで爆発的に伸ばした。その経験を塾講師としてリアル塾で発揮するも、携われる生徒の数に限界を感じ化学受験テクニック塾を開講。 自己紹介の続きを読む。