限界イオン半径比とは?計算方法を徹底解説!

限界イオン半径比

『限界イオン半径比』というのは、案外覚えている人がいますが、ちゃんと理解している人は居ません。

 

多くの人は、セミナーや重要問題集を覚えているだけで、キッチリ理解している人なんてほとんど居ません。

 

そういう勉強では必ずぼろが出るのでキッチリ理解する勉強をしていきましょう。

※この記事は2〜3分で読むことができます。

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大前提!イオン結晶の安定性とは?

イオンの安定性とは

限界イオン半径比を理解するためには、イオン結晶の安定性を理解しておく必要があります。この知識が大前提です。①から③にいくにつれてイオン結晶は不安定になります。(というかイオン結晶として成り立たない)

 

正の電荷を持つ陽イオンと負の電荷を持つ陰イオンが接しているおかげで、イオン結晶は安定しているのです。そしてなるべく陽イオン同士、陰イオン同士は接触したくないんです。なぜなら反発する力が発生してしまうからです。

 

なので、

イオン結晶が安定

このように陰イオンと陽イオンが接して、陰イオン同士が離れている①の状態は安定しています。一方一番右側の③のように、

イオン結晶が不安定

陰イオン同士が接してしまい、さらに陰イオンと陽イオンが接していないくらい陽イオンと陰イオンの大きさに差があると、イオン結晶が不安定になってしまいます。

 

そして、真ん中の②はその間で、ギリギリの状態です。

このギリギリの状態で、「イオン結晶の限界」です。てな訳で、この問題の限界イオン半径比はこの状態で求めていきます。では具体的に実例を見ていきましょう。

限界イオン半径比とは?

てな訳で、陰イオンと陽イオンがギリギリ接している状態の②の時に、

限界イオン半径比というのは、イオン結合の安定性の限界を考えたものなのです。

 

つまり、下図がマックスの安定性の状態でこの状態で、比を取ったのが限界イオン半径比というものです。

限界イオン半径比,塩化ナトリウム

このままではよくわからないと思うので、もう少し簡単な図に変えていきます。

 

上の図のNaCl型の結晶で陽イオンのNa+を中心に下図を考えます。

 

 

こうするとわかると思いますが、一番左は陰イオン同士が接していないし、陽イオンとも全て接する事が出来ています。

 

 

そして真ん中の図ですが、これは陰イオンと陽イオンが全て接している状態です。陰イオン同士も接しています。

 

なので、これがイオン結合として限界の安定している状態です。

 

そして、次にいちばん右です。このとき陽イオンがどんどん小さくなり、陽イオンと陰イオンが接していない状態です。

 

なので、限界な安定状態の『イオン半径の比』を『限界イオン半径比』と言います。

限界半径比

 

限界イオン半径比

で限界イオン半径比を求めます。

 

陽イオンが小さくなりすぎると、イオン結合が破綻しますので、限界イオン半径比より小さくなると、イオン結晶になりません。

 

限界イオン半径比
のときは、イオン結晶が安定します。限界イオン半径比
のときは、イオン結晶が破綻します。

 

 

 

受験化学の限界イオン半径比の2パターン

受験化学で出題される限界イオン半径比は次の2パターンです。なので、この2パターンをマスターしておれば、基本限界イオン半径比の問題は大丈夫でしょう。

 

というか、求め方

 

それはNaCl型とCsCl型です。

NaCl型

限界イオン半径比,塩化ナトリウム

まずはNaClで右上の三角形に着目します。これは、三平方の定理で有名な三角比1:√2に当てはめます。

 

1:√2=(r+r+):2r

 

という比なので、ここから関係式を導きだします。

限界イオン半径比

この計算式で導出する事が出来ます。

CsCl型

限界イオン半径比,塩化セシウム型

この図のようになりますので、

限界イオン半径比

となります。

 

限界イオン半径比の問題の解法ステップ!

それではここまで読んでくれた人に、この問題の解き方の解法ステップを見ていってもらおうと思います。

ステップ①陽イオンが限界の小ささのときに、陽イオンと陰イオンが接する面を書く

接する面を考えてその断面を抜き出します。

NaCl型なら

限界イオン半径比,塩化ナトリウム型

この赤い部分。

 

CsCl型なら

限界イオン半径比,塩化セシウム型

このような面となります。

 

ステップ②陽イオンと陰イオンのイオン半径の関係式を作る。

これは基本的に三平方の定理の三角形の有名な比と当てはめます。これによって関係式を作る事が出来ます。

 

ステップ③r+/rの形を全力で作る。

ここは数学です。数学でなんとかr+/r=の形を作ります。

 

数学と言うより、算数です。

演習問題

例題

アルカリ金属ハロゲン化物の決勝の中には下図のような立方体型の単位格子を持つものがある。これについて、次の2つの問いに答えよ。ただし、イオンは剛体球であるとする。

問1:隣り合う異なるイオン種同士は互いに接しているものとし、またアルカリ金属とハロゲン化物のイオン半径をそれぞれr1,r2として、立方体の1辺のながさを表せ。

問2隣り合うことなるイオン種同士は互いに接していなければならないとした場合、KBr、CsBrのうち下図のような構造をとりえない塩はどれか。ただし、イオン半径はK+=0.138nm、Cs+=0.170nm、Br=0.196nmである。

塩化セシウム型のイオン結晶

1995年東工大

この問題は、「塩化セシウム型」なので、こちらの断面を使って問題を解いていきます。

問1

 

 

最後に

限界イオン半径比はイオン結晶が保たれる限界の陽イオンと陰イオンのイオン半径の割合の事である!

 

安定性の限界なんだ!という事がわかったと思います。おそらく、今まではただただ、セミナーに載っているからという理由でやっていたと思いますが、

 

ここからは理屈を持ってやっていってください!

 

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1 個のコメント

  • 塩原綾音 より:

    NaClなどの構成原子の半径を求める問題はたくさん解いてきましたが、限界イオン半径比、という用語は初めて聞きました。

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    受験化学コーチわたなべ

    浪人の夏休みまで死ぬほど勉強したにも関わらず偏差値50を割ることも。そんな状態から効率よく化学を学び化学の偏差値を68まで爆発的に伸ばした。その経験を塾講師としてリアル塾で発揮するも、携われる生徒の数に限界を感じ化学受験テクニック塾を開講。 自己紹介の続きを読む。