理想気体と実在気体の違いをイラストでわかりやすく説明してみた

理想気体半端ないって

理想気体半端ないって
理想気体半端ないって〜あいつ半端ないって〜気体分子の大きさ無視したり、分子間力無視したりするやん〜そんなんできひんやん〜

理想気体と実在気体の違いは、入試でよく出題されます。

よく、

理想気体は分子の大きさと分子間力を無視できる

と覚えてしまっている人がいます。しかし、こんなもの覚えても全く応用が聞かないです。また、この理想気体と実在気体の違いをちゃんと理解していないと「ファンデルワールスの状態方程式」に歯が立たなくなります。

 

ファンデルワールスの状態方程式は実在気体の状態方程式です。

ということで、この記事は日本一詳しく理想気体と実在気体の違いを解説し、これを読むことで、違いが言えるだけでなくイラストをつけて他人に説明できるようになることを目標とします。

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理想気体と実在気体の2つの違いとは?

「理想気体と実在気体の違い」と表現されますが、基本的に理想気体がチートを使っているだけです。現実世界のことを論じている実在気体と、チートの理想気体だと考えてください。

簡単にまとめると、

理想気体 実在気体
分子の大きさ 無視できる 無視できない
分子間力 無視できる 無視できない

このように、理想気体はチートのように分子の大きさと分子間力を無視していきます。それがどのような影響を及ぼすか詳しく見ていきましょう。

理想気体のチート1:分子の大きさを無視する

分子の大きさを無視するのです。そもそも気体の体積というのは、気体が動き回れる空間の体積のことです。(意外とこれが理解できてない人が多い)PV=nRTのVは容器の大きさです。

 

分子の大きさがあるとどうなるでしょうか? 分子の大きさがあると、気体が動き回れる空間が小さくなります。

理想気体と実在気体の違い

右の実在気体を下に集合させてみますね。すると、

理想気体の体積と実在気体の体積

このように、容器の体積をVとすると、気体分子の大きさの合計の体積bのぶん、気体が動き回れる体積が小さくなるんですよ。よって

 

理想気体の体積(分子の大きさが0だと考えた時)=実在気体の体積ー分子の大きさ

 

するとPV=nRTが厳密には、成り立たなくなってしまいます。だから、理想気体では、チートを発動して理想気体では、なんと気体分子の大きさbを無視するんです

受験化学コーチわたなべ
まあ、意外と気体の体積=動き回れる空間であるということを知らなかった人が多いんじゃないかな? と思っております。

理想気体のチート2:分子間力を無視する

分子間力は、水素結合とファンデルワールス力のことです。両方に共通することは、+とーの引力であるということです。実在気体にはこの分子間力が存在して、理想気体には存在しません。

この分子間の引力が存在すると不都合が起きるわけですね。

 

まず、気体の圧力は気体分子が分子運動をして、ガツガツぶつかって、壁を押し上げることですよね。

気体の圧力とは

このような分子が「圧(お)す力」で圧力です。この分子同士で分子間力が働いてしまったらどうなると思いますか? 1つの分子に着目してみるとよくわかります。

圧力が弱くなる理由

このように他の気体分子によって、分子運動を引きとめられて弱められてしまうのです。これによって、圧力が弱まり理想気体が成り立たなくなるんです。

実在気体は理想気体とどのようの状態方程式に違いが出てくるのか?

というわけで、PV=nRTをこれまで当たり前のように使っていましたが、基本的にPV=nRTを使えることの方が世の中多くありません。なので、実在気体はどのような状態方程式なのか、確認していきましょう

実在気体の状態方程式(ファンデルワールスの状態方程式)

⑴分子自身の体積を考慮する

先ほど話しましたように、実在気体は理想気体と違って、分子の大きさを無視できません。今回は気体分子1molあたりの体積をbとします。すると、nmolの体積はnbです。

理想気体の体積と実在気体の体積

これにより、

V理想気体=V実在気体-nb 

となります。

⑵分子間力を考慮する

実在気体は、理想気体と違って分子間力があります。分子間力があるおかげで、圧力が弱められるのでしたね。

分子間力は、引きとめられる分子から見たら、周りにいる分子の数に比例します

分子間力は周りの分子数に比例する

つまり、気体の分子数密度(n/V)に比例します。また、壁に衝突する数も分子数密度(n/V)に比例します。比例定数をaと置くことで、

P理想気体=P実在気体+(n2/V2)a

このように、理想気体の圧力を実在気体の圧力で表します。

こんな感じで、オランダのファンデルワールスっていうおじさんが、理想気体の状態方程式を実在気体に合うようにa,bを使って表しました。

{P実在気体+(n2/V2)a}{V実在気体-nb }=nRT

これがファンデルワールスの状態方程式です。

ファンデルワールスの状態方程式は、覚える必要はありませんが、過去に入試問題に出たこともあります。もちろん、誘導に従うことで全て導出することができますが、一通り見ておくことをオススメします。

理想気体と実在気体の違いでよく試験に出るポイント

それでは、理想気体と実在気体の違いをよく理解してもらったと思います。その上で、試験に何が出るのかをバッチリ落とし込んでいきましょう。

試験によく出る理想気体と実在気体の違いを表すグラフ圧縮比

気体が1molあった場合、理想気体ならPV/RT=1となりますよね。

 

この気体1molの時のPV/RTをZと表して、圧縮率と言います。実在気体の場合PV/RT≠Zです。なので、Zが1から離れれば離れるほど、理想気体から遠いということになります。そして、このグラフが非常によく出題されます。

圧縮率Z

逆にZ=1に近づく時、実在気体は理想気体に近づくということです。そして、このグラフの解釈が記述問題でよく出題されます。暗記している人も多いですが、これはしっかり理解した方が早いです。

理想気体の体積と実在気体の体積

まず、先ほどの画像で

V実在気体=V理想気体+b

と表せます。なので、実在気体の体積を圧縮率に代入すると

Z=P(V+b)/RT=PV/RT+(b/RT)P=1+(b/RT)P

となります。この式を使って以下のよく記述で出題される項目を解説していきます。

このように、(b/RT)PがZ=1から上下にずらす要因です。

実在気体を理想気体に近づける方法

「高温」「低圧」にすると実在気体は理想気体に近づきます

これも記述問題で激しく出題されます。これをただただ丸暗記しようとするとめちゃくちゃ大変です。本質を理解すると簡単に覚えられますので、しっかりイラスト付きで覚えてしまってください。

分子運動を激しくさせる

分子運動を激しくさせると、分子間力を振り切るくらい早いスピードで動けるようになるのです。

分子間力の影響を受けないくらいのスピードで動いてしまえばいいのです。

そのためには、

  • 低圧にする
  • 高温にする

です。まず、圧力が低いことで、分子の動きを押さえつける力が弱まり、分子運動が活発になります。さらに高温にすることでも分子運動は大きくなります。

 

なので、ほとんどの人が丸暗記している結論にはなります。

 

でも、この記事のイラストを見ながら、イメージをつけて、気体が別の気体からの分子間力を振り切って動き回っている様子を考えた方が圧倒的に覚えやすいですよね?

 

なので、しっかりイメージごと覚えてみてくださいね。

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ABOUTこの記事をかいた人

受験化学コーチわたなべ

浪人の夏休みまで死ぬほど勉強したにも関わらず偏差値50を割ることも。そんな状態から効率よく化学を学び化学の偏差値を68まで爆発的に伸ばした。その経験を塾講師としてリアル塾で発揮するも、携われる生徒の数に限界を感じ化学受験テクニック塾を開講。 自己紹介の続きを読む。