【明快】ステアリン酸単分子膜からアボガドロ定数の求め方

ステアリン酸の単分子膜

大学受験化学超有名問題。ステアリン酸の単分子膜からアボガドロ定数を求める計算問題です。

おそらく、受験勉強を初めて出会ったことがない人はほとんどいないのではないかってレベルの有名問題です。もちろん、この記事ではこの問題が解けるようになることはもちろんですが、

 

はっきり言って、この問題でしか通用しない解法で解いたところで、なんの意味もないんですよ。だって国立大学でこの問題が今更出題されると思いますか?

 

ステアリン酸の単分子膜からアボガドロ定数を求める問題だけに通用する解法を学んだところで、時間の無駄です。

この記事では、この問題を題材にしてモル計算で重要な概念を叩き込む記事にしていきますので、必ず最後まで読んでください。

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ステアリン酸の単分子膜からアボガドロ定数を求める時の方針

まずは、問題文を読んでいきましょう。

ステアリン酸をベンゼンに溶かした溶液を水面に滴下すると、ベンゼンが蒸発して単分子膜(分子が重なっていない分子の厚みの膜)ができる。

ステアリン酸w[g]をベンゼンに溶かして100mLの溶液を作り、水の入った水槽にその溶液v[mL]滴下したところ、単分子膜ができた。これについて次の問いに答えよ。ただし分子間の隙間はないと仮定し、単分子膜の面積をSA[cm2]、ステアリン酸1分子が水面上で占有する面積をa[cm2]、ステアリン酸のモル質量をM[g/mol]とする。

(1)この溶液bv[mL]中に含まれるステアリン酸の物質量を求めよ。

(2)この実験からアボガドロ定数を求めよ。

重要問題集より出典

そもそも論、化学の計算の基本方針は誰が何と言おうと、「モルに直すこと」です。どんな物理量が出てきてもこの方針を崩すことはほとんどありません。

僕なら、どんなことがあってもとりあえず全部モルにしようと考えます。なので、わたなべにとって、(1)は不要な誘導です。

こちらの記事「理論化学の計算なんて簡単!2つの事を意識するだけで解ける!」で解説していますが、化学の計算なんてものは、「モルに変えてからモル比を求める」のみです。

 

そして、その足がかりである、モルに変換すると言うのは基本中の基本です。なので、まずはこの問題文の登場人物を全てモルに変換していきましょう。

ステアリン酸の単分子膜からアボガドロ定数を求める解法

ステップ1:登場する物理量を整理しよう

登場する物理量は、w[g]のステアリン酸(途中で100mLにしてからvmL取り出すので、v/100倍する。gを見たらモル質量で割るのは反射)

単分子膜の面積SA:(さあ、これをどうモルにするかね)

ステアリン酸1分子の占有面積a:(お、単分子膜の面積をこれで割ったら、ステアリン酸分子の個数わかるんじゃね?)

アボガドロ定数:(わたなべ的には、アボガドロ定数ってのは、個数→mol変換するマシーンだと思っている)

ステップ2:物理量をモルに変換する(この過程で(1)の答えは出る)

『ステアリン酸w[g]をベンゼンに溶かして100mLの溶液を作り、水の入った水槽にその溶液v[mL]滴下したところ、単分子膜ができた』

この文章から、ステアリン酸の単分子膜に使われるステアリン酸の質量がわかります。なので、質量なので、モル質量(g/mol)で割ればモルを出すことができますね。

w[g]×(v/100)[g]×1/M[mol]=(vw/100M)[mol]

となります。(1)の答えがこれです。これは、

ステアリン酸の単分子膜

このステアリン酸の単分子膜のステアリンのmolを求めたことになります。

 

まあ、普通に化学の計算問題の解き方を理解していれば、(1)は言われなくてもやってるわwって言ってほしいレベルですね。誘導なしでも(2)が溶けてほしいレベル。

 

さらに、

『ただし分子間の隙間はないと仮定し、単分子膜の面積をSA[cm2]、ステアリン酸1分子が水面上で占有する面積をa[cm2]』

この部分ですね。単分子膜の面積を

 

クラスの人から1人10円を集金しました。すると、クラス全体で3000円になりました。さてクラスには何人いますか? ってのと一緒です。

全体で集金した金額を、1人あたり集金した金額で割りますよね。3000円を100円で割ると、30人になりますよね。

 

こんな感じで、全体の面積を1分子の面積で割るとステアリン酸の個数が現れますよね。個数がわかったらアボガドロ数で割ればいいんです。

 

ちなみに、ここで求めるものがアボガドロ数なのに、アボガドロ数で割っていいんですか? って思うかもしれませんが、気にしないでください。

どうせ、最終的に方程式をとけばいいわけですよ。とにかく我々の方針はモルを求めることであり、問題ごとに方針を変えてはいけません。

 SA÷a[個]÷NA[mol]=(SA/aNA)[mol]

となります。これも求めているものは、

ステアリン酸の単分子膜

このステアリン酸の単分子膜中のステアリン酸のmolですよね。

ちなみに、以下の物理量を見たら、何も考えずにモルにしていないといけません。これを見て考えている用ではダメですね。

g→モル質量(分子量、原子量、式量)でわる。

個→アボガドロ定数で割る

A→秒をかけてファラデー定数96500で割る。

mol/L→体積を掛ける

標準状態体積→22.4で割る

こう言う当たり前を、誰も追いつけないレベルで繰り返して学ぶことでどんどん化学の実力がつきます。

ステップ3:求めたモル同士の比を求める

モル比を求めていきます。今回のモル比はめちゃくちゃ簡単です。なぜなら、質量からmolを求めたパターンと面積、個数からmolを求めたパターンで、同じステアリン酸のmolを表現しています。

(vw/100M)=(SA/aNA)

が成り立ちます。これは1:1のモル比を求めていることになります。抽象度を上げてモル比と表現しております。

よって(2)の答えであり、この問題の主題であるアボガドロ定数は、最終的に方程式を作ることで求められることがわかったでしょう

 

ちなみに、問題集の解法だと最終的にNA=〜〜〜

の形になるように頑張って式をいじくったりしますが、そんなこと考えずに「モルに変換してモル比を求める」と統一した方が迷わず問題を解けるんです。

重要ポイントまとめ
  • 有名な問題だろうと特殊な解法を使わない
  • 「モルにしてモル比を求める」でほぼ間違いなく化学の計算は解ける。
  • NA=の形にしようとする問題集の解法は普通思いつかない

ここまでみた人は、動画を流しながら見ることで一気にここまでの内容を復習することができます。

最後に

重要問題集を見てもらっても、必ず”美しい”解法を目指します。ですが、それが必ずしも点数に結びつく解法かと言うと、そうではありません。

 

僕は、美しさよりも誰でも思いつける解法なのか? を重視しています。この問題は確かに簡単なので、問題を覚えてしまっても解けるかもしれませんし、ちょっと考えたら、重要問題集の解法はできたかもしれません。

 

しかし、こんな問題、僕ならほぼほぼ頭を使わずに機械的に解けるレベルです。それくらい方針ってのは大事なんです。頭の使いどころ、考えるべきところ、機械的にやっていいところを区別して勉強していきましょう。

 

受験化学コーチわたなべは、こう言う風にややブサイクでも誰でも思いつける解法をメルマガで紹介しています。無料でダウンロードできる「理論テンプレート」と言う解法集もありますので、ぜひダウンロードしてみてください。

わたなべのお知らせ!

 

3 件のコメント

  • ry__ より:

    解法の動画もあってわかりやすかったです!
    1つ質問なのですが、
    (1)で単分子膜全体のmolを求めて
    (2)はNA使ってそれ1個のmolを求めてるんですよね
    これが=でつながりますか?

    • 受験化学コーチわたなべ 受験化学コーチわたなべ より:

      いや、(2)は単分子膜全体のmolを求めてますよ!


      同じ物を求めているからこそ等号で結べるのです!


          
      まず、モル=6.0×1023個のあつまりですから、
      1個のモルと言う表現はあり得ないわけです!
         
      ステアリン酸の単分子膜の表面積を1個の面積で割ると個数がでてきますよね。

        
      ということは、その個数をアボガドロ定数で割れば、
      その単分子膜のモルが出て来て
      等号で結べちゃいます!

      • ry__ より:

        たしかに1個のmolありえないですね笑
        1個で割るという事ををカン違いしてました
        ありがとうございます!

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    受験化学コーチわたなべ

    浪人の夏休みまで死ぬほど勉強したにも関わらず偏差値50を割ることも。そんな状態から効率よく化学を学び化学の偏差値を68まで爆発的に伸ばした。その経験を塾講師としてリアル塾で発揮するも、携われる生徒の数に限界を感じ化学受験テクニック塾を開講。 自己紹介の続きを読む。