固体の溶解度の問題の1つのパターン「水を蒸発させて溶質の析出量を求める問題」です。
ですが、パターンを覚える必要は全くありません。固体の溶解度の問題は、一切パターン暗記不要です。
たった、1つの解法だけを知っていたら、全問題に当てはめられます。
水が蒸発しようと関係なくたった1つの解法で解けることを、こちらの例題を使って解説していきます。
KNO3の溶解度は80℃で169、60℃で110、20℃で31.6である。次の問いに答えよ。
60℃のKNO3飽和溶液1050gをとり、60℃の状態で840gになるまで水分を蒸発させると何gの結晶が析出するか。
※この問題はまず例題を自分なりに解いてみることをオススメします。これをスクロールすることなく、この状態で問題文を見ながら解いてみてください。難しくはありません。
目次
水を蒸発させる固体の溶解度の問題だろうが全てに使える解法はこちら
ステップ1:変化後の温度と溶解度を確認
ステップ2:最初の溶質(無水物)と水の質量を求める
ステップ3:変化量を求める
ステップ4:変化後の溶液の飽和溶液で関係式を作る
この解法を当てはめていきます。
例題をまず図にするとこのようになります。
水を蒸発させて、溶液を1050gから840gに変化させています。
つまり、溶媒の水が-210gになっているということです。
水を蒸発させる問題を解いていく
ステップ1:変化後の温度と溶解度を確認
このように60℃であることがわかります。沈殿が生じているので、当然飽和溶液です。
このようになりますね。
ステップ2:最初の溶質(無水物)と水の質量を求める
最初の溶質は、60℃の飽和溶液1050gですので、
溶質は、
溶媒のみずの質量は
となります。
ステップ3:変化量を求める
この問題で水210gを蒸発させるわけです。つまり、溶媒は210g減少しますし、ここで沈殿が析出します。
この沈殿が求めるものなので、x[g]と置きます。
よって、変化量は、
溶質 | -210[g] |
溶媒 | -x[g] |
と、まとめられます。
ステップ4:変化後の溶液の飽和溶液で関係式を作る
水が蒸発した後も飽和溶液であるから、このような式を立てることができます。
このように関係式を作ったわけですが、この計算がまた面倒なんですよね。
ちなみに、固体の溶解度の計算は割と高い確率で面倒になります。そして、今回の問題は割と綺麗な数字になりますが、最終的に四捨五入して妥協したような計算結果になることもよくあります。
計算結果に気に食わずになんども計算をし直していると時間が経過してしまうこともあるので、汚い結果計算結果になることもよくあるということを知っておきましょう。
てな訳で、割とテンション下げ目で計算過程を見せていきます。
分母を消します。
両辺を100で割ります。
11(1050×10-210×21)=1050×110-210x
( )を取り除きます。
1050×110-210×21×11=1050×110-210x
1050×110が両辺から消えます。すると、
210x=210×21×11
x=231
となります。これより析出量は231[g]となります。
結局水が蒸発しようと新しい公式を覚える必要は全くない
ステップ1:変化後の温度と溶解度を確認
ステップ2:最初の溶質(無水物)と水の質量を求める
ステップ3:変化量を求める
ステップ4:変化後の溶液の飽和溶液で関係式を作る
やはり、固体の溶解度の問題はこの解法を1つ知っていれば、全ての問題を解くことができます。
こちらの記事で、全てのパターンを網羅していますが、結局全部同じなんだなということがわかっていただければ、幸いです。
結局理論化学っていうものは、いかに少ない知識で多くの問題を解けるようにするかが重要です。
確かに、固体の溶解度のこの程度の問題ならば、パターン暗記でできるかもしれませんが、理論化学の恐ろしい問題は見たことない問題がしばしば出題されることです。
この時、かなり手こずるわけですよ。そのためには、やはり、解法暗記に頼っていてはダメなんですね。