どうも、わたなべです。
電気化学は酸化還元の応用で、電池や電気分解などがありますが、
これらの知識は既に得たでしょう。そこでどのように問題で使って行くのかについてこれらの知識+αを試せるメチャクチャええ問題があったんでこれを解説して行きます。
これだけで
①銅の電解精錬
②pH計算
③NaOHの工業的製法
④直列・並列回路
⑤鉛蓄電池
入試で必ず必要な知識の
オンパレードになっているもんだ
なので、まず自分で解いて、
復習しまくってください。
そうしたら、メチャクチャ力に
なりますよ!
いずれも、1.000moll/Lの濃度を持つ。NaCl(aq)、CuSO4(aq)、NaCl(aq)の各水溶液500mLの入った容器A,B,Cを下図のような回路につなぎ一定電流を流した。

その結果Bの一方の電極は6.35g重くなり、他方は6.50g軽くなった。またCの陰極では標準状態で3360mlの気体が発生した。B槽中のCu2+の濃度は0.010mol/L減少した。なお、粗銅の不純物は亜鉛と銀であり、Agは放電反応を全くしなかったと考え、また、溶液の体積は常に一定とする。次の問いに答えよ。(原子量はH=1.0,O=16.0,S=32,Cu=63.5,Zn=65.4)
問1粗銅中の銀の質量%を求めよ。
問2発生する気体が全て溶液中から出て行くとすれば、AでのpHはいくらになるか。水のイオン積Kw=[H+][OH-]=1.00×10^-14(mol/L)^2、log_10 2=0.30とする。
問3鉛蓄電池の硫酸(密度1.26g/ml)は、最初35質量%で500mlであった。反応後の質量%はいくら?
この問題では、電気化学(電池+電気分解について、入試に出題される対外の項目が含まれているのでメチャクチャに復習してほしい。具体的には以下の5項目!
①銅の電解精錬(電気分解)・・問1
②pH計算・・問2
③NaOHの工業的製法(電気分解)・・問2
④直列・並列回路・・問2,3
⑤鉛蓄電池・・問2,3
それでは問1から順番に見て行こう。
問1銅の電解精錬(電気分解)
復習だが、電気分解は基本的に起ってほしくない反応を電気エネルギーによって無理やり起こすと言う物だった。
銅の電解精錬は電解槽でBで起ります。電解槽Bの反応はこちら
銅の電解精錬はいっちゃえば、ただの電気分解の問題です。
ステップ1 陽極陰極を決定
ステップ2 電子の流れる方向を矢印で表す。
ステップ3 陰極、陽極の反応の序列を覚える。
でした。
ということで陽極と陰極を今回の問題で確認しましょう。
陰極は負極と繋がっている方。
陽極は正極と繋がっている方。
です。
こんな感じで、電解槽Bは出来上がります。
この電解槽Bの底に落ちている物は『陽極泥』といって粗銅中のうち放電できなかったAu・Pt・Agが陽極の下に沈殿して泥になった物を言います。
粗銅中には今回ZnとCuとAgがありましたね。そして問題文を読めば、『Agは放電反応を全くしなかったと考え』と書いてあります。
基本的に、ノーヒントで
「あ、これは放電しないな!」って思わないと行けないのは、AuとPtとCですので、Agが放電しないのはこの問題の設定だと思ってください。
それでは陽極と陰極の反応式を書いて行きます。
(陽極)序列1のでん教区自体の粗銅中のCuとZnが放電!Agは放電せず落下!
陽極の序列は、
極板の金属(Au,Pt,C黒鉛以外)>ハロゲンイオン>水の電離などで生じるOH–
だった。
Cu→Cu2++2e–
Zn→Zn2++2e–
Ag→Ag(陽極泥として落下)
この反応から6.50g減少しています。Bの陽極から出たe–のモル数とBの陰極から来るe–のモル数は等しい!
(陰極)序列2のCu2+がe–を得る。
陰極の序列はAg+>Cu2+>H+の順にe–を受け取る。
〜iumがつく金属は溶液中でe–を受け取る事は無い!
Cu2++2e–→Cu
電気分解の基本通りですね!これを利用すると、純銅を陰極に得る事ができるのです。
そして電気分解の序列を利用して銀、亜鉛を取り除くわけです。銀は今回そのまま落ちますし、亜鉛はまだイオンのまま水中をさまよいます。
(本当は電圧をメチャクチャにかければZn2+でもe–を得るのですが、、)
Bの陰極で析出したCu(M=63.5)6.35gのモル数は
6.35/63.5=0.100mol=100mmol
溶液から減少したCu2+の物質量(モル数)は0.0100×500=5mmol
溶液からCu2+が5mmol減少したのは、Cu2+よりイオン化傾向が大きくZn2+の電子を得たくない性質があり、その身代わりにCu2+5mmolがCu2++2e–→Cuの反応したから。
つまり粗銅中のZnの物質量は5mmolである。
Bの陰極に析出したCu物質量=Bかの陽極から放電したCuの物質量+溶液から減少したCuの物質量より、Bの陽極(粗銅)から追うでんしたCuの物質量=Bの陰極に析出したCu物質量ー溶液から減少したCuの物質量=100−5=95mmol
先に説明したように、Bの粗銅中から放電したZnは溶液中から減少したCuの物質量と等しい5mmol。
陽極の反応式
Cu→Cu2++2e–
Zn→Zn2++2e–
CuもZnも共に1molにつき、2molのe–が放出される。
→つまり、Znが粗銅中に5mmol存在、放電し、身代わりにCuSO4aq中のCu2+が5mmol減少した。
結果,Bの粗銅6500mg中のCu・Zn・Agの構成は下表のようになる。

粗銅中のAgの質量パーセントは、

となります。
問2NaOHの工業的製法(電気分解)+直列並列の知識

まずこのように図を書いて陽極と陰極を決めましょう。
電解槽Aは、電気分解するにつれて、下のように溶液中にNaOHが生成される。
まず陽極の反応は、序列の第2位、ハロゲンのイオンCl–が反応するから、
2Cl–→Cl2
これは元々塩化ナトリウムだったので、両辺に2Na+を足すと、
2Na++2Cl–→2Na++Cl2+2e–
そして、陰極は水中の金属は~iumがつくナトリウムしかない。だからナトリウムが電子を受け取ってくれる可能性はありえない。てことは、『H+』しかない!しかしH+がe–を受け取るときは、液性に注意しなければならなかった。酸性ならH+がそのまま存在するけど今回の場合は、中性、てことは、水が電離したH+に電子を受け取ってもらわなければ行けない。水の電離はH2O⇄H++OH–これに電子がバシバシ与えられるとH+がどんどん減少する。なぜならH2になるから。だから、どんどんOH–が増える。このOH–こそが、NaOHのOHになるのだ。
よって
2H2O+2e–→H2+2OH–
の反応が起きます。これを両辺加えると、
2NaCl+2H2O→2NaOH+Cl2+H2
NaOHが生成されると言う事は、塩基性になるわけで、そのときにその[OH–]からpH計算を要求している問題なんです。
NaOHは強塩基だから基本的に[OH–]=Cb(水酸化ナトリウムの濃度)となります。最後に水の電離のOH–と水酸化ナトリウムによるOH–を比べて近似できるか?と言うのを考えるところまでやると確実に国立大に合格できるでしょう!
先ほど記した2H2O+2e–→H2+2OH–より電解槽Aを流れたe–1molからOH–1mol生成するので、電解槽Aを流れたe–1molからOH–1mol生成するので、電解槽Aを流れたe–のモル数を求めて、電解槽Aの水溶液の体積2.0Lで割ると[OH–]が算出できる!
2H2O+2e–→H2+2OH–
e–:OH–=1:1のモル比で反応!
しかし、電解槽Aを流れたe–のモル数は、電解槽Aからは分からない。電解槽Aと電解槽Bが直列でつながれているので、回路を流れるのモル数は同じである事が二注目、電解槽BのCuの析出量からe–のモル数を求める。
Cu2++2e–→Cu
e–:Cu=2:1のモル比。Cu6350mg析出!
上式より、Cuのモル数の2倍が3–のモル数。
この値が、電解槽A,Bを流れたe–のモル数
先ほど記したように、電解槽Aで発生したOH–のモル数=(電解槽Aを流れた)e–のモル数=200mmol従って下記のように反応後の電解槽Aの[OH–]は算出できる。
→発生するOH–のモル数0.20molと比べて取るに足らないので、無視!

ここでm(ミリ)同士が約分されて消える事に留意!
水のイオン積(KW=[H+][OH–]=1.0×10-14(mol/L)2)から[H+]をけいさんし、pHに換算すると以下のようになる。
この式を使って求めます。
問3反応後の鉛蓄電池ののH2SO4aq
ポイントはPbとPbO2を話してつないだのが鉛蓄電池!PbからPbO2を話してつないだのが鉛蓄電池!PbからPbO2へe–が移動。
Pbが負極、PbO2が正極。反応式は下記の通り。
電解槽Cです。
・Cの陰極では、2H2O+2e–→H2O+2OH–
e–:H2=2:1のモル比で反応!
の反応でH2のモル数の2倍が電解槽Cを流れたe–のモル数
下式の様に電解槽Cを流れたe–のモル数の比は1:2であることから、下式のように電解槽Cを流れたe–のモル数が求まる。
②回路を流れたe–の全モル数
電解槽A,Bを流れたe–のミリモル数+電解槽Cを流れたe–のミリモル数=回路を流れたe–の全ミリモル数=200+300
=500mmol(e–)
=0.50mol(e–)
③反応後の鉛蓄電池のH2SO4の質量パーセント
e–が1mol放置するとH2SO4が1mol減少し、H2Oが1mol生成する。
本文は流れたe–の全モル数=0.50mol(e–)なので、H2SO4が0.50mol減少しH2Oが0.50mol生成することから、反応後のH2SO4aqの質量パーセントを求めると、次式のようになる。
