機能性高分子の2つ目として感光性ポリマーの解説をしていきます。
目次
感光性ポリマーとは?
感光性ポリマーとは、簡単に言うと、紫外線を当てるとカチコチになるポリマーのことです。
ポリビニルアルコールとケイ皮酸をエステル結合させたポリマーに、紫外線を当てるとC=C同士が架橋構造を作ります。
このようになります。(入試的にはこれらの物質名とかは覚える必要はありません)架橋構造が出来ると物質ががちがちになります。また、溶媒にも溶けにくくなります。
で、光当てて固くなるのがどういう効果があるのか意味わかりませんよね?
ということで、半導体の現場ではどのようにこれが使われているのかを解説していこうと思います。
使用用途
以前ドライエッチングとかウェットエッチングの話をしたことがあります。
そう!SiO2ガラスの腐食の話をしたことがあったと思います。ガラスの腐食と言うのは半導体の分野でも使われるのです。
半導体というのは、Siで出来ていると言うのはご存知だと思います。最近の電子機器ってチップ状に集積しますよね。
これが集積回路で、これをチップ状に実現するんです。まあn型とかp型とかは一応高校物理でも習いますが、特に気にしないでいいです。
このチップって色んな細工をする前は、SiとSiO2が重なり合ったこんな構造なんですね。これがチップ状に広がっているんです。
上の図でも『酸化膜』っていうのがありますよね!これがSiO2なんですよ。このSiO2を削って道を作ってますよね。
この道に電気が流れるんです。つまり、電気を流すところのSiO2を削らなあかんわけですよ!
ただ、電気を流すところを削るためには、電気を流さないところを削ってはいけないわけですよ。この削っては行けないところを感光性ポリマーで覆うのです。
こういう風な溝を掘りたかったら
このように溝以外のところが掘られないように感光性ポリマーで塞がなければならないんですよね。
感光性ポリマーをこのような場所に固めるには、
このようにSiO2の上にレジストを塗った後、このようなマスクっていう物を置きます。この上から紫外線を当てます。
すると先程の感光性ポリマーがカチコチになりますよね!紫外線が当たっていないマスクの下は感光性ポリマーでも、紫外線に当たっていないので固まっていません。
だから、洗えば落ちます。カチコチになっている部分はSiO2の削りたくない部分を守ることが出来ます。
削りたくない部分を守った上で、HFでSiO2を削れば、掘りたいところだけ削ることが出来ます。
このプロセスをリソグラフィーと言ったりします。
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