こんにちは。
この悩みをバッチリ解答していこうと思います。
今日は、案外書き方がわかっていない『イオン反応式』の書き方について話していきます。
イオン反応式ってちゃんと「わかってないこと」に気づいている人が好きないんです。すごい頻繁に出題されるわけではないし、ちゃんと書けなくても勉強を進めることはできるんです。
だからこそ、書けない人が多いんです。
そもそもイオン反応式は何を省略したらいいのか? 何を削ればいいのか? をまとめていきます。
最終的にはこのような例題でもサクサクイオン反応式を書ければOKです。
動画でも問題解説ちゃんとやってます。
目次
イオン反応式とは?
反応に関与するイオンをイオン式で表した反応式
簡単にいうと、反応するイオンだけを取り出した化学反応式です。反応に関係のないイオンを削除して作られる化学反応式です。
例えば酢酸ナトリウムに塩酸を加えて酢酸を遊離させるという反応があったとしたら、
という化学反応式になりますが、
イオン反応式だと、
という反応式にします。
とこういう簡単な具体例を出すと思ってしまいます。
これが落とし穴なんですよ!!
こういう簡単な例題を見ると、イオン反応式は反応に関与するイオンだけを取り出して反応式を作る。上の例だとNa+とCl-は反応に関与しないから消す。
と考えてしまいます。理解としては正しいです。
ですが、たとえば、
って問題だったらどうでしょうか?
多くの人が手が止まるのではないでしょうか?
イオン反応式の書き方をステップバイステップでまとめてみた
- 化学反応式を書け!
- 電離しやすいものは電離させろ!
- 両辺で消せるものは消す
いきなりやり方を紹介しました。センスのいい人はこれだけでできると思うのでやってみてください。
具体的に解説していきます。まずは先ほどの簡単な酢酸ナトリウムと塩酸の反応をイオン反応式で表していきます。
ステップ①化学反応式を書け!
CH3COONa+HCl→CH3COOH+NaCl
さきほどのようにこのように反応式を書きます。
ステップ②電離しやすいものは電離させろ!
そして、この化学反応式で電離するもの、(ナトリウム塩や強酸)を電離させます。
CH3COO–+Na++H+Cl–→CH3COOH+Na++Cl–
ステップ③両辺で消せるものは消す
CH3COO–+Na++H++Cl–→CH3COOH+Na++Cl–
このように電離したものを見ると、Na+とCl-はキャンセルできますよね。そしてのこったものは、
CH3COO–+H+→CH3COOH
ということになります。
イオン反応式を作る例題を解いてみよう
それでは他の問題を解いてみて、それで確認していきましょう!
基本的にイオン結合というのは、水に溶けやすいです。つまり金属+非金属の結合の化学式は水に溶けるので、イオンにします。しかし、時々沈殿する例外があります。
例外はコチラで覚えましょう。
FeCl3水溶液にNaOH水溶液を加えるとFe(OH)3の沈殿が生じる
FeCl3水溶液にNaOHを加えるとFe(OH)3の沈殿が生じる反応のイオン反応式を書け
ステップ①:化学反応式を作る
FeCl3+3NaOH→Fe(OH)3+3NaCl
ステップ②:イオンに分解する
Fe3++3Cl–+3Na++3OH–→Fe(OH)3+3Na++3Cl–
ステップ③:消せるものを消す
Fe3++3Cl–+3Na++3OH–→Fe(OH)3+3Na++3Cl–
AlCl3水溶液にNH3水を加えるとAl(OH)3の沈殿が生じる。
ステップ①:化学反応式を作る
AlCl3+3NH3+3H2O→Al(OH)3+3NH4Cl
ステップ②:イオンに分解する
Al3++3Cl–+3NH3+3H2O→Al(OH)3+3NH4+3Cl–
「なんでAl(OH)3をイオンに分解しないのか?」と質問が来ましたが、Al(OH)3は水に溶けてイオン化しません。
これは「沈澱」するパターンです。金属イオンと水酸化物イオンの塩の多くは水に溶けません。
これは無機化学の知識です。
「沈殿生成反応を語呂合わせで一瞬で頭に焼き付ける覚え方公開!」の記事で確認してくださいね。
ステップ③:両辺で消せるものを消す
Al3++3Cl–+3NH3+3H2O→Al(OH)3+3NH4++3Cl–
Ca(OH)2水溶液にCO2を通じるとCaCO3の沈殿が生じる。
ステップ①:化学反応式を作る
Ca(OH)2+CO2→CaCO3+H2O
ステップ②:イオンに分解する
Ca2++2OH–+CO2→CaCO3+H2O
ステップ③:両辺で消せるものを消す
Ca2++2OH–+CO2→CaCO3+H2O
※消すもんが無かった。
イオン反応式関連でよくある質問
電解質は覚えるべきなのか?
電解質は覚えておくべきものです。ただ、普通に化学を勉強していたらいつの間にか覚えていくものだと言えるでしょう。
大まかに
- イオン
- 強酸
強酸を入れたら強塩基はなんで入れないの? って思うかもしれませんが、強塩基のほとんどはイオンなので(NaOHやCa(OH)2など)そちらにまとめました。
イオンは基本的に電解質です。しかし、中には電解質じゃないものもあります。イオンなのに沈殿するものもあるのです。
これは無機化学の系統分析のところで出題されます。
他にも何か質問がありましたらこの記事のコメントに書き込んでみてください。どんどん追加していきます。
最後に:イオン反応式まとめ
- 化学反応式を書く
- 電離するものをイオンで書く
- 両辺で消せるものは消す
この流れでイオン反応式は書けます。もし、書けないなあって思うものがあったら、そもそも化学反応式が書けていない可能性がすごく高いです。
今回の内容を動画で確認していきましょう!
序盤にありました動画です。復習にお使いください。
イオン反応式はこのように考えれば、非常に簡単に解く事が出来ます! 2次試験に向けてガンガン活用していってください!
とても分かりやすかったです。
イオン反応式がよく出来なかったので助かりました!
おお!良かったです!
アルミニウムと塩酸の反応をイオン反応式で表すとどうなるのでしょうか?
分かりやすすぎて草
電解しやすいやつは覚えないといけないのでしょうか?
はい、記事に追記しました。
硫化水素や硫酸は、なぜ二段階で電離するのですか?
第1電離と第2電離で電離定数(電離のしやすさ)が異なるからです。
イオンに分解するときになんでAl(OH)はイオンに分解しないのですか?
それは無機化学の知識ですね。
沈澱するイオンの組み合わせを覚えてください。
https://xn--qck0d2a9as2853cudbqy0lc6cfz4a0e7e.xyz/inorganic/deposition
リン酸と水酸化ナトリウムのイオン反応式で、リン酸は弱酸なのに電離するんですか?
中和の反応式においては電離します。
中和後のリン酸ナトリウムが電離するってことですよね?
中和でできる塩なので、電離します。
Na塩は完全電離するので。
酢酸ナトリウムもそうですよね。
ただごく一部塩の加水分解が起こります。
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