こんにちは。
ニトロセルロースはセルロースを濃硝酸で反応させるものです。
このニトロセルロースですが、
「え!エステル化なん?ニトロ化ちゃうの?」
と思う人も多いはずです。(俺も違いを区別していませんでした)
なので、今日はセルロースからニトロセルロースにする反応と、「なぜエステル化で、ニトロ化じゃないのか?」をお話していこうと思います
目次
ニトロセルロースを生成の流れ
ニトロセルロースの反応の仕方をたどると、ニトロ化ではなく、『硝酸エステル』だなとわかります。
まずは硝酸などオキソ酸によるエステル化の知識をこちらで付けてください!
セルロースには『非共有電子対』をもったヒドロキシ基が3つあります。
また硝酸は、酸素に電子を吸い上げられているので、δ+が存在しています。
このようになっているため、ヒドロキシ基の非共有電子対を、電荷の偏りδ+に対して、挿入します。
このようにセルロースのヒドロキシ基がアタックします。
すると、
このようにニトロセルロースを得ます。
また、セルロースは残り2つのヒドロキシ基を持ちますので、これらも反応して、
トリニトロセルロースという物質になります。
ニトロセルロースを作るときの注意点
ニトロセルロースですが、
ニトロと言えば、『爆薬』です。
なので、高温にしてしまうと、すぐ爆発してしまいます。
なので、135度あたりから分解されて、180度で爆発するという厄介な子なんです。
なので、実際は、20℃ほどで、混酸によく乾燥した脱脂綿を浸して、約20度で1〜2時間放置するだけです。
ニトロセルロースの反応式
セルロースの化学式は
[C6H7O2(OH)3]nです。
これより、
[C6H7O2(OH)3]n+3nHO-NO2→(H2SO4)→[C6H7O2(ONO2)3]n+3nH2O
となります。
これは3つ全てのヒドロキシ基がエステル化されたものでこれがもし「ジニトロセルロース」だったとすると、
[C6H7O2(OH)3]n+2nHO-NO2→(H2SO4)→[C6H7O2(ONO2)2]n+2nH2O
なぜニトロセルロースはニトロ化では無くエステル化なのか?
するどい質問がきたので、それを記事にしました。
質問がこちら!
ニトロセルロースになりますが、これはニトロ化ではなく硝酸エステル化だと参考書に書いてありました。
名前はニトロセルロースなのに
火薬にもなるのに・・・
それはどうしてニトロ化ではないのでしょうか。よろしくお願いします。
確かに混酸を使っていると言う点でも完全にニトロ化と同じ、
でもなんでこれは『硝酸エステル』でベンゼン環の方は、『ニトロ化』なんだろう?
鋭い質問だと思うので、これを説明していこうと思います。
ニトロベンゼンvsニトロセルロース『構造の違い』
簡単にニトロ化を表すとこのような反応です。
詳しいニトロ化の説明はコチラ!
そして、トリニトロセルロースはこのようにセルロースのヒドロキシ基にNO2がついた構造です。
トリニトロセルロースはこのような構造、
どちらも同じような構造に見えるが、、、
ニトロ化の方は、
C-NO2となっているのに対して、
ニトロセルロースは、
C-O-NO2となっています。
そうニトロ化は直接炭素原子とニトロ基が結合している状態で、エステル化はヒドロキシ基との反応なのです。
なので、ニトロセルロースはニトロ化ではありません。
ニトロセルロースはどういうときに使われる?
ニトロセルロースの使用用とは、火薬と溶媒の速乾性、フィルムの強度のタk差からラッカー塗料として使われます。
このようなギターの光沢ある色もトリニトロセルロースが使われています。
また、『ニトロ』がつくと、爆薬というのが有名ですよね!
火薬に使われるニトロセルロースには、分類があります。
シングルベース火薬
ニトロセルロースのみからなり、ほとんど拳銃の発射薬として使われます。
ダブルベース火薬
ニトロセルロース+ニトログリセリンからなる大口径の火砲の発射薬として使われるパターンもあります。
このニトログリセリンとともに火薬として使われます。
まとめ
セルロースに対して、濃硝酸+濃硫酸でエステル化するとニトログリセリンと言う。
そして、ニトログリセリンは、ニトロとついているが、『ニトロ化』ではなく、あくまでも『エステル化』である。
塗料としてや火薬として用いられる。
分からなかったことがすっきりしました!
ありがとうございました!
グリコシド結合のOも非共有電子対があると思うんですがそこにはNO2は行かないんですか?
行かない理由は「OとCの離れにくさ」が「OとHの離れにくさ」より大きい、とかでしょうか?
まとめのところの、セルロースがニトログリセリンになるというのがよくわかりません。ニトロセルロースじゃないんですか?