こんにちは。
大学受験で受験化学の問題集といえば最初に出てくるのがこの重要問題集ではないでしょうか?
おそらくこの記事を読んでいる人も重要問題集を手にとっていて
まず、なぜこのような記事を書こうとしたのかということですが、重要問題集は誰でもかれでも手を出していい問題集ではありません。
良い教材ではあるのですが、使い方を間違えると、大ダメージを受けてしまいます。
半年やったのに、偏差値が50のまま。とか、重問を5周やったのに、セミナーしかやってないやつに模試で負けている。とか、
重問は、それをうまく使いこなした勝者と使いこなせなかった敗者を生み出してきています。
あなたが前者になれるように、今日は重問のうまい使い方を書いていこうと思います。
目次
化学の重要問題集のメリットとは?
名前の通り重要問題集である
重要問題集は、問題の選定には文句の付け所がないです。過不足なく、非常にうまく問題が選び抜かれています。
という質問がときどき来るのですが、重要問題集以上の網羅性を求めるより、他の科目をするか赤本をやったほうがいいですね。
重要問題集の無駄のなさもかなり素晴らしいです。重要問題集に取り上げられている問題の背景までちゃんと理解したら、化学で受験に失敗することはまず無いでしょう。
本番に即している
この重要問題集のいいところは、改題もありますが、ほとんどが入試問題のまま出題してくれるということです。
重要問題集とセミナーの一番の違いはここです。セミナーは入試問題をぶつ切りにした問題集です。入試問題の対策として本番に近い形で練習できるメリットがあります。
セミナーは知識をつけて、それを運用する練習をするのには素晴らしいですが、重要問題集のように入試の実践的演習が出来る機会で言うと劣ってしまいます。
化学の重要問題集のデメリットとは?
初心者には理解不能の解説
初心者が手を出すと理解不能だと思います。夏休みになったからいきなり重要問題集をやってみよう!という基礎が出来ていない受験生を見かけますが、おそらくそういう人には理解できないでしょう。
ちなみにこれは欠点に入れましたが、長所でもあります。というのも、上のレベルでどんどん自分を高めていきたいのに、いちいち基礎の基礎まで解説されると面倒ですからね。
つまり、まだ基礎ができていない人に取っては欠点であり、勉強が進んでいる人に取っては長所なのです。
この欠点を解決するのは、基礎が出来ていないならば重問に手を出してはいけない!ということですね!
重要問題集を使っていいかどうかは、時期の問題ではない。あなたのレベル次第である。
解法が美しすぎる(思いつくわけない)
重要問題集の解法ってバラバラなんですよね。例えば、気体の分野なんかも一問一問方針がバラバラで、この問題とこの問題でまるで解法が違うんですよね。
考えられる理由は、重要問題集は毎年すべての問題を変更するわけではないので、毎年少しずつ問題が追加されたり削除されます。
すると、重要問題集の第1版から今までの改訂ですべて同じ人が問題を解いて、模範解答を作っているようには思えないんですよね。
だから、人それぞれ違う解法になります。人それぞれ方針が違いますので、出来上がる解答もバラバラです。よって、問題ごとに方針がめちゃくちゃやな〜って感じる分野が何箇所かあります。
解法が問題ごとで違うと実際の模試や本番で、自分ひとりではその解法を思いつくことが出来ないんですよね。
例えば2017年の重問17番のアボガドロ定数をステアリン酸の単分子膜から求めるという問題ですが、
こちらのように、受験化学コーチなかむらの解法は明確で簡単です。アボガドロ定数の単位『個/mol』を分子分母で作り上げよう!って言うだけです。
しかし、重要問題集の解法は左辺と右辺をステアリン酸の『個数』で等号でつなぐという解法が書かれています。
そう、両辺個数でむすぶというような解法は、『この問題でしか使えない』のです。しかし、俺が示している分子分母の単位を揃えるという解法は、別のところでも使えます。
この%濃度からmol濃度へ変換するものでも、楽々使えます。この濃度関連もすべて同じ方針で解けますし、
固体の溶解度の問題でも同じように、単位を作るという考え方は楽々当てはめることが出来ます。どちらが本番が使える解法なのかは明白でしょう。
重要問題集の解法は『再現しにくい』というのが難点です。だから、解法は別でまなんで置くべきだと思います。
解法を学ぶならば、日本で一番優れているのがこのサイトですね。そもそもこの重要問題集で『思いつくわけ無いやろ!』と悩み続けていた僕が書いているのですから、
再現可能な解法ばかりを書いています。試しに解法をまとめたテキストを読んで確かめてみてください。
重要問題集の模範解答を再現できるようになっても無意味。重要問題集を解いてみてその問題を解くための方針が自分で思いつけるかが重要
重要問題集を使うべき対象者と非対象者
これを考えると、重要問題集は使うべき人と、使うべきでない人が明確にわかれますね!
そして、結構多くの人が重要問題集には手を出さないほうがいい場合が多いです。
重問を使っていい人の条件は2つあります。
1つ目の条件:夏休みまでの基礎の出来具合
まず夏休みに入った段階で、セミナー(リードα)レベルの教科書傍用の問題集のA問題、基礎問題レベルが完璧に解けるようになっている人です。
現役生の場合は、既習部分だけでOKです。既習部分のセミナーのA問題が苦なく解きこなせている人であれば重問に突入していいでしょう。
逆に、そうでない場合は重要問題集を使っても
2つ目の条件:志望校
そもそも、基礎は出来ているけど、志望している大学にそれほど難しい問題が出ない標準的な大学の場合、無理に重要問題集に手をだすのは時間の無駄です。
重要問題集に手を出してもいいと思うのは、旧帝国大学や医学部を目指す場合です。
ここで、医学部は大学によっても標準問題ばっかりのところもあるのですが、医学部のレベル的に1問も落とせない戦いをしなければならない可能性が高いので含めました。
2つ目の条件は当てはまるけど1つ目の条件がだめな人は?
つまり、旧帝大を目指しているけど、セミナーのA問題レベルができていない人はどうすればいいか?という質問です。
これは、絶対にセミナーを使ったほうがいいと思います。新しく問題集に手を出すくらいならば、時間がないのでとっとと赤本をやっていったほうが絶対にプラスです。
こういう条件を出すと、よく重問を使うに値しない人でも合格が無理と言っているわけではありません。今やっている問題集を完璧にしたほうが合格に近いから言っているのです。
重問をやるから合格するわけじゃない!ということを肝に命じておいてください。
重問を使っていないことに不安を感じることは非常にわかります。周りが使っているし、ネットを見たら重要問題集は必須!みたいなのもユーチューブでみたし、、、
わかります。でも、残念ながら焦って手を出した重要問題集をやりきることは絶対に出来ないと断言します。
あなたが立てた重要問題集をやる計画は見事に毎日3割も終わりません。人は追い込まれると信じられない勉強計画をたてますからね。
『毎日重要問題集を30問を解くから10日で1周が終わる』
みたいな。
まあ、俺が現役のときに書いたやつなんだが、、(笑)こんなことやるくらいなら、これまで定期テストで何度も使ってきたセミナーやったほうが強いです。
化学の重要問題集だけでなく問題集全般で覚えておいて欲しいこと
超大事なことをいいます。
大学受験はあなたの取り組んだ問題集で合否が決まるわけではないということです。重要問題集レベルの問題を覚えるくらい解いたからといってそれで合格するわけではありません。
さらにいうと、冷静に考えて欲しいんですが
「何周したらいいですか?」
なんてその人の取り組み方次第なんだからわかるわけがないんですよ。
参考記事:赤本の使い方〜赤本中心学習で京大医学部に現役合格した話〜
化学の重要問題集に関するよくある質問
Q1:化学の重要問題集を何周したらこの大学に合格しますか?
おそらくこの質問をしている人は、根本的に考え方を改めないと天と地がひっくり返っても合格しません。
特に旧帝大、医学部なんかを目指す人はこの考え方では絶対に合格できません。何周したらっていうのは根底に「暗記」の考え方があります。
英単語帳でさえ明確に何周したら全部覚えられるかがわかりませんよね。化学なんてもはや暗記では対応できないのに、それを何周したら? なんて言えるはずがありませんよね。
つまり、大事なのは自分が思いつける解法をちゃんと身につけているかどうかです。
Q2:重要問題集は僕は手を出せないレベルなんですが、重問なしでも〇〇大学は足りますか?
この質問は非常によくあります。上の質問にも共通するのですが、難しい問題を覚えれば覚えるほど難関大の問題が解けるわけではありません。
セミナーでもしっかり使いこなしている人は京都大学医学部にも合格しています。その対談はこちらの動画で録っています。
どのように頭を使って問題を解くかです。それができればセミナーでも余裕で成績は伸びますよ。
最後に
問題集は必ず必要になってきますが、いちばん大事なのは解法を学ぶことです。
10周やろうが、20周やろうが、本番に思いつかないような解法を暗記しているならば、0周と同じです。
それなら0周で最後の高校生活の青春を楽しんでいる方がまだいいですよね。だから、解法ありきであり、問題集を〇◯周することに意味が無いということを覚えておいてください!
高校三年生のMARCH志望です。
セミナーがそろそろ終わるので重問に入ろうかなって思ってたのですけど、重問はMARCHだとオーバースペックですかね?
またセミナーの次は何をやればいいですか?
セミナーをくりかえしやってください。そうすれば十分に力がつくはずです!
MARCH志望です
重問は旧帝国大と医学部を目指す場合とありましたが、MARCHの場合オーバースペックでしょうか?またその場合セミナーの次の問題集は何をするのがいいでしょうか?
セミナーを完璧に出来ているのでしょうか?
おそらく、セミナーをやりきることはなかなか難しいです。
ちゃんと理解して、なので次のことは考えなくていいです。
それよりは過去問を解いていったほうが良いです。
千葉大学工学部志望の者です。2次試験での化学の配点が物理の2分の1、英語と数学の3分の1なので英数物の3教科に時間をかけたいです。セミナーは問題数が多いので、教科書を読みながら問題数がとても少ない『橋爪のこれだけで合格』のシリーズを反復していきたいのですが、過去問で問題演習をたくさんやっていけば合格点はとれるでしょうか?
高校3年生です。まだ教科書レベルの問題も理解できないところがあります。
千葉大の過去問次第です。
過去問を見て対応できそうだと思えば出来ますし、出来なさそうだと思えば出来ません。
その問題集に取り組んだことが無いのでなんとも言えません。
セミナーと新標準問題演習は同等のレベルだと思うのですが、セミナーとの違いは何でしょうか。
では、新標準問題演習でいいと思いますよ。
一般的な流れとしてよく出されるのが、
セミナー⇒重問という流れなので、出しただけですので、
安心して使えばいいと思いますよ。
東大志望です。
もう高3なのですが、セミナーに今取り組んでいます。
化学は少し苦手です。
セミナーを完璧にすることに専念したほうが良いのか、セミナーをさらっと流し重要問題集にしたほうがいいのかどちらが良いでしょうか?
また、もしセミナーのあとにもう一冊やる場合、重要問題集がよいのでしょうか?
高校三年生でセミナーに取り組んで、そのあともう1冊問題集をやるのは無理でしょう。赤本に移ってください。
大学で化学を専攻し、塾業界で働いているものだ。ネット上の情報は信頼できないものが多いのだが、このページの内容は非常に共感できる。特に、重問を使うデメリットの部分は、もっと広く高校生に知ってもらいたいものだ。
そうですね。
重要問題集を盲目的に使うことはなかなか厳しいものがあると思います。
早稲田大学先進理工学部生命医科学科志望の高2です、セミナーを完璧になりそうです。高3は重要問題集に手を出しても大丈夫でしょうか?
OKです!
受験まで2ヶ月です。
慶應大学薬学部志望なのですが、化学がすごく苦手でセミナーの基本問題と発展問題は大体解けるようになり、無機や高分子の暗記も進んでるのですが、過去問ができません。どうすれば良いでしょうか。
重問やるときも解法無視してやったほうがいいですか?
「自分が思いつくか」という基準で考えて、「こんなの思いつくわけないやん」というやつは無視してください。全部無視しろというわけではありません。