気体反応の法則は、基本法則の中でかなり出題頻度は高い方です。それは、原子説の矛盾を突き止めるきっかけになった法則だからです。
入試問題では、この原子説の矛盾点を記述する問題が出てきたりします。まずは気体反応の法則を理解して頭に入れて、記述問題にも対応できるようにこの記事では解説していきます。
目次
気体反応の法則とは?

反応気体(上図で言う水素と酸素)、生成気体の同温同圧下での体積を測定すると整数比が成り立つことを見出した。
これは、現代人の僕たちからしたら、PV=nRTのうちP,T一定ならV=knとなるので、体積はモルに比例する。
よって、2H2+O2→2H2Oの反応で、体積比が2:1:2になることは簡単にわかります。
そして、ゲーリュサックは、このことを原子説で説明しようとしたんです。そこで、

と仮定しました。
これは、後にアボガドロの手によって体系理論化されて「原子または複合原子」から「分子」に変えられて「アボガドロの法則」と呼ばれるようになりました。現代人の僕たちからしたら、
PV=nRTのうち、P,V,T一定で、Rは定数なんですからn=定数に決まっていますよね。てことは、どの気体もP,V,T一定なら同じ個数になることは計算で簡単にわかります。(もちろん、当時はこんなこと知られていませんでしたけどね)
ですが、問題が起こりました。
本来原子説的に考えると、先ほどの水素と酸素が化合して水蒸気になる気体反応は、

こうなるはずですよね。2:1:1になるはず。
(当時は、Hは陽性の元素ですから、H同士がくっついて分子になるなんてありえないと思われていました。HClはわかる。でも同じ元素の物質が化合するとは思われていなくて、当時水素や窒素、酸素は単原子気体だと思われていました。)
てことは、どう考えても、下の結果はおかしかったのです。

アボガドロの法則と、気体反応の法則と、原子説が矛盾を作り出したのです。水の生成反応を満たすには、原子をかち割るしか方法がなかったのです。これは原子がこれ以上割れない最小単位である仮定に反します。

このように、原子説と矛盾を炙り出したのがゲーリュサックのこの気体反応の法則です。

ちなみに、この後、原子説と気体反応の法則の両方を説明することができる分子説が登場しました。
入試問題では、気体反応の法則自体を色々聞かれることよりも、気体反応の法則と原子説の矛盾点を指摘しなければならない問題が出題されるようになりました。
演習問題
1803年にドルトンが提唱した原子説では、1805年に報告されたゲーリュサックの実験結果「水素2体積と酸素1体積が反応して2体積の水蒸気が生成する」を説明できなかった。このような実験結果を説明するために、アボガドロは1811年に彼の仮説を提出した。これが、後に、多くの実験によって正しいことが証明され、アボガドロの法則と呼ばれるようになった。
(1)原子説の内容を説明せよ
(2)アボガドロの法則の内容を説明せよ。
(3)ゲーリュサックの実験を例にして、原子説からアボガドロの考えに至らなければならない過程を説明せよ。
[福島大学]
この(3)の問題が入試でよく出題されますので、きっちりマスターしておきましょう。
最後に
さあ、化学の基本法則もかなり最後の方までやってきました。残すところは、アボガドロが発見した法則のみとなります。アボガドロの基本法則もじっくりご覧ください。
また、やはり入試で重要なのは理論化学では「理論計算問題」です。理論計算問題をとにかくシンプルに考えて、いろんな問題を暗記しなくても解ける方法が存在します。